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夜のスーパー

べらぼうを見終わり、運動不足解消にと散歩に出た。二月の夜は、寒さが身に染みる。出かけなければよかったかと後悔したが、せめてスーパーのイオンで暖を取ろうかと、10分ほど歩いてスーパーに着いた。

スーパーは昼間のにぎわいとは違い、静かだったが、それでも数人の客が買い物をしていた。フードコートは営業が終わったところだが、まだ食事をしている人がいた。弁当を買ってきてここで夕食を食べるのも良いものだなと思った。静かな環境で食後にゆっくり本を読んでいる人もいた。夜のフードコートは、人も少なく、勉強の場所として最適なようだ。

このスーパーは、館内のいたるところに学習用の机が置いてあり、勉強している人の姿が見られる。今やスーパーは、大きな商店の役割だけでなく新たなサービスを提供するようになっている。今は夜、上の階の店は閉まっていて人気がない空間にまだ明かりは灯っている。勉強机はあるが、人はいない。その余りの静寂さに背中が寒くなる。

昼間は、家族や高齢者たちでにぎわうフードコートも夜間は全く異なる静寂な勉強の場になっている。それを知っているのか、閉店までの時間を有効に使っている。スーパーを自分ひとりの勉強部屋にする、これほどのぜいたくはあるだろうかと感じた。

食品コーナーを見渡すと、予想以上に食品がなくなっていた。特に寿司や刺身コーナーはなくなっている。生鮮食品の値引きはどのくらいか気になり、のぞき込む。思ったより安くなっていない。もう夕食は食べたし、買うことはないか。セルフレジでは、スタッフが不慣れな客に丁寧に教えている。サービスの高さは、利用者数に反比例する一これは真理だな。

上の階に上がってみたら、ほとんどの専門店が閉まっていて、ジムだけが開いていた。通勤帰りの人をターゲットにしているのだろう。ガラス越しに自転車をこぐ足が見える。

ペット店もカーテンが降りていて、子犬のか細い鳴き声が聞こえてきた。しばらく立ち止まり、耳をすませば、また子犬の鳴き声がする。ガラスケースに入れられた犬たちは、朝が来るまで寂しい夜を過ごすのかと、昼間には気づかないことに気づき、ガラス部屋に入れられた自分を思い浮かべて、犬の気持ちを想像した。

昼間では見られないこんな風景が夜のスーパーにある。




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