東泉小学校オルゴールにある田村虎蔵と築土八幡の碑
台東区立東泉小学校校歌の古いオルゴールがテレビの横に置かれたままになっている。妻が半世紀も前にもらったものだ。
今日ふとオルゴールの真上に書かれている校歌を見たら、田村虎蔵作曲、宮西惟助作詞とある。
人間の記憶は、ふとしたことをきっかけに蘇る。田村虎蔵、聞いたことがあるなと記憶を辿った。ぼんやりとした記憶が脳の奥から現れてくる。
2016年の初夏だった。飯田橋に仮住まいして、あちこち散歩した。歩きながら築土八幡神社を見つけて、境内を散策した。境内に唱歌の碑があり、作曲者は田村虎蔵だったことが、頭に浮かんで来た。唱歌を作曲した人ということが記憶にある。
こういう脳の働きは覚束ない、極めてあてにならない。確かめないと気がすまなくなる。築土八幡と田村虎蔵を調べてみる。あった!
ヒットしたうれしさは、記憶の確かさへの喜びである。
田村虎蔵(1873〜1943)
鳥取県出身
作った曲は、『キンタロウ』(まさかりかついだ)、『うらしまたろう』(むかしむかしうらしまは)、『青葉の笛』(いちのたにの)、『はなさかじじい』(うらのはたけでぽちがなく)、『大こくさま』(おおきなふくろをかたにかけ)、『一寸法師』(ゆびにたりないいっすんぼうし)・・・
たくさんある。それも誰が作曲したかを知らずに歌ってきた曲ばかりだ。
本当に自分は碑を見たのだろうか。
築土八幡に行ったときの写真を探した。見つけた写真を見たら境内に『金太郎』の楽譜が書かれた田村虎蔵顕彰碑がある。やっと、東泉小学校のオルゴールの田村虎蔵と築土八幡の田村虎蔵が結びついた。
人間は、ふとしたことで眠っている記憶が呼び覚まされる。しかし、その記憶にあることが事実かどうかを確かめるには、記録しかない。今日は、蘇った記憶を記録で確かめることができた。