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はじまりの季節

今日はハロウィーン。古代のケルトの暦では、10月最後の日の夕刻から新年が始まる。収穫の季節が過ぎて、いよいよ暗黒の季節である。

明暗の循環する時間に生きる我々には、明から始まる考えと暗から始まる考えとがあるだろう。それはそれぞれの土地に住む人々により違う。

古代ケルト人は、一日を日没から始まると考え、一年を夏の終わりから始まると考えた。日本人は、芽生えの春を一年の始まりとし、春から夏に、夏から秋に、秋から冬にという暦で生きている。そんなわれわれには、一年の始まりを暗黒の季節の始まりとする考えに抵抗があるかもしれない。

しかし、明るい季節から光が弱まる季節に行くときの寂しさよりは、厳冬の季節から春の芽生えを感じる方が心浮き立つことを思うと、暗黒の季節を過ぎて、やがて明るい季節に移り行くのだと思うのも、まんざらではない。

そろそろ年末恒例の第九「合唱」演奏会の予定が聞かれ始めるころだ。ベートーベンは、苦悩を突き抜ければ歓喜に至ると言ったという。聴衆は、「合唱」を聴き、暗から明の音楽に感動する。

なお、少し機械的な考えだが、季節を春分、夏至、秋分、冬至で分けるとき、二つの考え方があると思える。それは、次第に日照時間が変化する季節を日照時間の最大値(夏至)、最小値(冬至)、中間値(春分と秋分)の組み合わせ方である。

ひとつは、①春分から秋分を明の季節、秋分から春分を暗の季節とする考え方があり、もうひとつは、②冬至から夏至を明るくなる季節、夏至から冬至を暗くなる季節とする考え方である。①はケルトの暦に近く、②は今のわれわれの暦に近い気がするがどんなものだろう。

今のわれわれの一日は午前零時に始まる。日没でもなく日の出でもない、最も暗い時から次第に明の時に移ろうとするその瞬間である。これは②の考え方に近いと言える。



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