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ヨガの先生 

数十年も前に柏のヨガ教室に通っていた頃のこと。

ヨガの指導が終わると、受講生たちは、いつも円陣になって、今の心境を自由に語った。先生はいつも静かに聞いていた。そして、ときどき「そうですね」とうなずいていた。

話が終わると「それはこういうことでしょうか」「それはこうともいえますね」と感想を言ってくれる。そして、いつのまにか自分の考えを述べている。話し手も自然とうなずいている。相手の言うことを否定するのではなく、いろいろな見方や考え方を提示していた。聞いている相手は、自分で反芻する余地を与えられ、自然と自分から納得するようだった。

ある日、私は「先生は不思議ですね、ほとんど相手だけが話しているのに、いのまにか自分の考えを伝えています」というと、笑いながら「話したいことを思い切り話してもらうようにしている。途中で私が意見をいうと、もうそこで話は止まってしまい、それ以上話さなくなるんです」と言った。本当に人生の達人のような人だった。                                 

2022.10.6 



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