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樹形の不思議

ずっとずっと不思議だと思っていることのひとつに樹木の形がある。

公園のベンチに寝そべって、見上げると梢が真上に張り出して、青空を背景に枝分かれした枝がさらにいくつもの小枝に分かれ美しい。

今は冬。
葉を落とした落葉樹は骨幹を露わにしている。枯葉を少し残したメタセコイアが真っすぐ天に伸びている。円錐形の姿がよく分かる。落葉針葉樹には、先細りながら垂直に立つものが多い。先に行くほど細くなっているのは、大地からの栄養が先に行くほど行き渡りにくくなるからだろうか、安定した体型を維持するためだろうか、積雪には耐られそうだ。

ケヤキのような落葉広葉樹は、竹箒を逆さに立てたような形をしている。各枝は先に行くほど細くなっているが、枝分かれするので、全体の形は扇型になっている。最初の分岐点からの一定の距離ごとに、枝の容量を計算すると同じ量になるか、減少しているか、どちらなのだろう。

落葉広葉樹でも桜は、全く違う形をしている。人間が手を入れているから、横に枝を這わすものが多いが、わが家のマンションにある桜のように、手を入れていないものは、扇型に近い。年を経るごとに下の方の枝が下がってくるのは、自らの重さに耐えられなくなったのだろう。

枝ぶりに特色のある松の元々の姿は、真っすぐ伸びた幹と横に垂れた枝にあり、公園に植えられている松は、職人の手が入っていて、本来の姿ではない。近くにある自然の多くは、松のように人工的だ。

針葉樹は、上に行くに従って細くなる。常緑広葉樹は、葉も平たいが、樹の形も丸い。葉の形が樹木の形に関係しているようだ。

針葉樹は、葉が細く光合成が広葉樹より少ないように思えるが、実際は、針葉樹の方が葉面積が多く、光合成も多いという。「針葉樹は広葉樹と比べて葉面積指数(単位土地面積あたりの葉面積)が高く、樹冠が深い(低いところまで葉がついている)」(「冷温帯林における針葉樹の光合成と形態の相互作用に関する研究」https://www2.lowtem.hokudai.ac.jp/kyoudou/report/H18/2IshiiHiroaki-report.html)ので、光合成の量が多いそうだ。広葉樹は、広い葉が陽光を受けやすい反面、影をつくり、他の葉に陽光をさえぎっている。針葉樹は細い葉のため、全ての葉に光が当たり無駄がない。針葉樹おそるべしだ。葉の形だけでなく、全ての葉の日当たり具合がどうなのかも大切なんだ。植木職人が剪定して形を作るのも、風通しだけでなく、日当たりを良くすることだったのか。

自然は、凡人の考えが及ばない摩訶不思議なものだ、と公園の樹を見ながらつぶやいている。

メタセコイア
常緑広葉樹
ケヤキ




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