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雨の音

今日は土曜日。窓から外を見ると雨が降っている。濡れた路上を車が走るとシャーと音が聞こえ、時々風混じりの音がする。

雨には音はない。雨が何かに当ったときに音がして、雨音が聞こえる。だからいろいろな雨音がある。雨の日の道路から聞こえる雨音は、タイヤと路上の雨水が擦れる音だ。

雨音には、水たまりを雨が打つ音、トタン屋根に打ちつける雨音などいろいろある。中でも雨傘を打つ雨の音が心地よい。傘の柄を持っている手の冷たさも雨音で和らいでいく。ザタザタザタ、ときにはシトシトシト、あるいはボトボトボトとリズミカルな音楽のように聞こえる。

歌舞伎では、雨の擬音を表わすのに、団扇にたくさんの小玉を糸で付けた雨団扇が使われる。これを左右に振ると雨の音に聞こえる。小雨では小さく、土砂降りでは大きく振る。雨の音そのものだ。これを工夫したのは、唐傘に雨が当たる音が雨らしいからだろう。

玄関を出て、傘を開くと雨が傘にあたりザタザタザタと雨の音がする。憂うつな心に雨の音がする。

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