暑い日に
梅雨が明けたかのように暑い日が続いている。
炎天下に長く歩くのが大変で、ついつい、スーパーの中に入り、涼を取ってしまう。
小椅子に座りながら、夏になると早く涼しくならないかと思う。涼しい季節の次には寒い季節が来ることを忘れている。いや、冬の寒さが人間に酷で厳しいということを忘れている。
冬になればなったで、早く温かくならないかと思う。温かい季節の次には暑い季節が来ることを忘れている。いや、夏の暑さが人間に酷で辛いことを忘れている。
どうして、そういうことになるのだろう。
辛いことは忘れるようにできているようだ。
人間は、今日を生きるようにできていて、遠い過去のことは、脳の引出しの奥にしまわれている。そういうことなのだろう。忘却は、人間の能力のうち最も秀でた能力だ。こんなときだけは、普通に忘れることができる普通の人で良かったと思う。
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