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住所変更登記に翻弄

実家の土地をずいぶんと昔に相続した。それから、諸事情により、数カ所を転居した。固定資産税は、住所を変えるごとに、しっかりと土地を所管する自治体から納付書が届いた。

不動産は、住居を移動するごとに変更登記をする必要があるということを知らなかった。それを知ったのは、今回、処分しようと不動産屋とコンタクトを取ったときである。登記の住所が現住所ではないから、変更しなければだめですねと言われた。登記の住所から現住所にまでつながる住民票を取るようにとのことだった。

しかし、それが至難の業であることをすぐに思い知らされた。

一番簡単なのは、戸籍の附票だという。ネットで調べても、不動産屋に聞いてもそうなので、戸籍のある自治体に行って、こういうわけで戸籍の附票が欲しいと言うと、長い時間調べてくれたが、出てきたものは、現住所とそのひとつ前の住所で、5年間保管したら廃棄すると言う。そんなに早く廃棄、がっかり、びっくり。担当の方は、気の毒そうに「廃棄した証明書は、無料ですからお出ししましょうか」と言うので、戸籍の附票と一緒にもらって帰った。

住民票のある自治体にも行った。電子化されているので、期待はあったのだが、すぐに裏切られた。住民票は現住所とその前のものしかないという。平成初期に電子化されたが、私が転入したのは、昭和62年、それから同じ自治体内を平成5年に転居したが、そのデータは、電子化されていない。廃棄したのかの問に、答がなかった所をみると、廃棄はしないで書庫内にしまわれ、電子化データのみを提供する方針のようだ。廃棄した証明は出せないと言う。廃棄してないからだろう。

かくして、努力むなしく、登記住所から現住所までのつながる住民票データは手に入らなかった。法務局に問い合わせたら、登記済証、いわゆる権利証があれば、住所変更登記は可能らしい。

登記に記載されたその住所に住んでいた某が今の住所に住んでいる某と同じ人物だと言えれば、良いのだろう。ひとつの方法が住所票がつながること、ひとつが権利証を所有する者は本人だという強力な蓋然性、ひとつは、長年にわたり固定資産税を払ってきた者は、登記に記載された者と同一だということは、かなりの強い証明能力になると思える。土地を所管する自治体は、固定資産税の納付者を住所が変わっても確実に把握し続ける。日本の行政は、税金をとる能力は極めて高い。その高い能力を持つ自治体に、住所の変遷を証明してもらえないかと聞いたら、断られた。

今回の経験からいろいろと思う。
そもそも、住所変更登記は必要なのだろうか。マイナンバーカードが誕生し、それで管理されようとする時代に、自動的に変更できないものなのか。

戸籍の附票は5年で廃棄される。電子化されなかった住民票データは、お蔵入りされて日の目を見ない。住民票を過去に遡って、何年も取ることはできない制度なのに、一方で住民票がつながるものを手に入れろという圧力がある。翻弄するのは、われわれ住民だ。

法務局、固定資産税を扱う自治体、現住所の自治体、戸籍のある自治体の連携はどうなのだろうか。とても連携されているとは思えない体験をした。

住所変更登記は、2026年(令和8年)4月1日からその登記が義務化される。その時に私が体験したことを多くの人が体験し、驚愕することになるだろう。

わが住所変更登記はどうなるのだろうか。今、依頼している司法書士の知恵に頼るしかない。

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