3匹のこぶた
孫のSくんが「3匹のこぶた」の歌を身ぶりをいれて楽しそうに歌った。保育園で学んできたのだろう。
わらのお家 フーでぺっちゃんこ
木のお家 フーでぺっちゃんこ
レンガのお家 フー あれ? フー あれ?
このあたりを楽しそうに歌う。
3匹のこぶたが建てたわらの家と木の家は、オオカミのひと吹きでぺっちゃんこになるが、レンガの家は大丈夫というおなじみのグリム童話にもあるヨーロッパの昔話だが、木造建築物に長らく生活している国の者としては、それがオオカミのひと吹きで倒れるようなものでないことを知っている。「3匹のこぶた」に多少の違和感を感じるのは、わたしが日本人だからだ。
寛永寺五重塔や浅草寺五重塔は、関東大震災で倒壊しなかった。法隆寺や合掌造りは、世界文化遺産(「法隆寺地域の仏教建造物」「白川郷・五箇山の合掌造り集落」)だ。
この物語の真意は、材質の優位をいうものでなく、丁寧に時間をかけて造ることの重要性を説いたものと言われる。「3匹のこぶた」を語り継いできた人たちにとっては、わらや木の家は簡便に作られるもの、レンガの家は時間をかけてじっくりと作られるものというイメージがあったように思える。彼らは、石やレンガによる建築技術を磨いたが、木による建築技術を磨かなかったので、木の家はオオカミのひと吹きで倒壊するものとなった。一方、木によって技術を磨いたわたしたち日本人のような人たちもいる。
「3匹のこぶた」は、それぞれの技術習得の有無という文化的背景を物語っている。