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新しい道と古い道
のんびり歩いていると大きな道路が小さな道路網を無視するかのように人工的に造られていることに気づくことがある。
家の近くを船堀街道が南北軸から少し右に傾いて真っすぐ通っている。葛西橋通りが東西に真っすぐ走って、船堀街道と交差している。歩いていると、これらの大きな道路のありようがどうも変だなと思う。小さな道路と垂直に交差していないのである。地図を見て船堀街道や葛西橋通りを取り除くと、いくつかの小さな道路が同じ方向を向いて平行に秩序だっているのが分かる。北西を向いた小さな道路の先にはスカイツリーが望める。スカイツリーができてしばらくは、道路の真ん中に立つとその先にスカイツリーがあるのが分かってうれしくなった。
新川以南の船堀街道も葛西橋通りも新しい道路である。葛西地区には棒茅場通りのような古道が江戸時代以前からあった。かつては船堀街道も葛西橋通りもなかった。明治13年の陸軍測量部の葛西の地図(東京府下武蔵国葛飾郡東西宇喜田両村並傍村落図)を見るとそのことがよく分かる。棒茅場通りと新川が平行であり、それらと複数の道が垂直に交わり、条理を形作っている。
その後、古い道路網の上に新しい道路がそれらの秩序を気にかけないで斜めに交差するように造られた。散歩をしながら、そんな古い道路と新しい道路のあり様を見つけてはよろこんでいる。
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