小岩菖蒲園のムジナモ発見の地に
京成電車が市川の方から江戸川を渡っているときに、江戸川の河川敷が目に入ってきて、牧野富太郎とムジナモのことが頭に浮かんだ。そして、同乗していた友人に言った。
「河川敷にある小岩菖蒲園に牧野富太郎が発見したムジナモの碑があるんだってね」
江戸川河川敷がムジナモ発見の場所ということを知ったとき、子どもの頃に小岩に住んでいたためそれが強く頭に残った。
友人は、以前に羽生を訪れてムジナモを模したキャラクターの「ムジナもん」の話をしてくれたことがあった。私の言葉を聞いた友人は、ムジナモ発見地ということに関心を示して、では降りてみようということになった。私の一言から下車決断までの時間の何と短いこと!
私たちは、江戸川の駅で降りて、小岩菖蒲園に向かった。ムジナモは食虫植物の水草で、1890年に牧野富太郎が江戸川河川敷で発見し、狸の別名ムジナから名づけたというが、どうして狸なのだろう。ちょっと見は単なる水草に見える。
小岩菖蒲園は、ちょうど6月の菖蒲の季節だった。園内には、ムジナモ発見から100年を記念して、1990年に「ムジナモ発見の地」の碑が立っていた。
ムジナモ発見の翌年には、開花したムジナモの花がヨーロッパに紹介され、牧野富太郎の名前は世界中に知られるようになったという。
それから、各地のムジナモ自生地が知られるようになった。さいたま市の羽生の宝蔵寺沼がムジナモの自生地ということから、羽生のご当地キャラクターにムジナもんが使われている。頭に葉っぱを乗せた愛嬌がある動物キャラである。
友人は、以前に羽生を訪れてムジナもんを知り、話をしてくれた。
小岩は、私の育った場所。
そして、それらが重ね合わされて、江戸川を通過するという瞬間に、小岩菖蒲園のムジナモ発見の碑を見に行ってみようということになった。
物事は、たまたま偶然のように起きたように見えても、そうなる必然的な理があると思われる。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?