歩行者は右側通行と習ったが
小学校で、車は左側、人は右側と習った。しかし、何年も生きてきて、いつの間にか、左側を歩く自分に気づき始めた。いや自分ばかりでない。人とすれ違うときに、皆が互いに左側を歩いている。
東京駅から地下鉄大手町に行く地下道は、皆左側を歩いている。エレベーターで左側に立つ慣習のせいで、そのまま左側を歩くようになったのだろうか。
江戸時代は、武士がすれ違うときは、刀がぶつからないように左側通行だった。心臓が左にあるので、守るために左側通行の考え方も成る程と思える。
では何故、学校で歩行者は右側通行と教えたのだろう。車が左側通行に対して、人は右側通行だ。どうも車との関係のようだ。道路交通法を見てみた。第10条に規定があった。
第十条
歩行者等は、歩道又は歩行者等の通行に十分な幅員を有する路側帯(次項及び次条において「歩道等」という。)と車道の区別のない道路においては、道路の右側端に寄つて通行しなければならない。ただし、道路の右側端を通行することが危険であるときその他やむを得ないときは、道路の左側端に寄つて通行することができる。
歩道と車道の区別のない道路は、歩行者は右側通行との規定だ。昔の道は歩道などがない道ばかりだった。自動車が歩行者の側を前からも後からも走り抜けていく。後から来る車は怖い。車と人は、対面で歩く方が互いに安心だ。そのため左側通行の車に対して、歩行者は右側通行とされた。
いろいろ見てみると、右側通行か左側通行かは、その人の置かれた状況により異なるようだ。ただひとつ言えるのは、それぞれに合理的な理由があるということだ。