
多様性 小学校の思い出
初めて多様性ということを学んだのは、小学校の高学年のときだったと思う。無論「多様性」等という難しい言葉を知ったわけではない。そういうことを学んだのである。
それは、担任の川上先生が配った一枚の紙によってであった。そこには、「勉強ができなくてもいいじゃないの。運動ができるから。絵や歌が上手じゃないの。ひとを笑わせるのが得意じゃないの。みんないいものを持っているからいいじゃない」といったことが書かれていた。成績以外にも別の尺度があることに、新鮮な感じを受けた。今振り返れば、多様な個人の尊重ということだったと思う。
威厳のある女の先生だった。叱る時も威厳をもって静かに叱った。母は千葉師範出の先生だと尊敬をこめて語っていた。私が高校に通う頃に、墨田区の梅若小学校の校長に就任した。母は、しばしば私の高校に近いのだから行ったらいいよと言ったが、引っ込み思案の私は、とうとう会いに行く事がなかった。
2023.1.4