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Photo by
yokominami
人は不便で危険な旅に出る
海外旅行に行って、楽しい思いをして帰ってくるが、どの国に行っても住みたいと思うことはない。ある国は、キレイな街なみだが、冬は寒そうだし、自然が美しい国は、スーパーが遠くて生活しにくいし、豊かな風土で温暖な日本が一番良いと思う。
旅は、日常からの脱却、日常からの解放で、心がのびのびとしてくるが、それは、やはり旅だからだと思う。住むことと旅することは違う。旅に出ても、どこかにあるかも知れない幸せの青い鳥を探してみても、見つからなかった童話のような結果になる。
旅とは、多くの時間を費やし、お金を使い、結局は、住んでいる今の場所が一番良いということを再確認するという、贅沢なものだ。
幸福な自分を忘れ、外国のロマンチックやエキゾチックなイメージを懷いて、旅に行けば、決して快適とは言えない生活に自分が置かれていて、ロマンや新鮮な体験と一体の不便さや危険がついてまわっていることに気づく。そして、帰ってくれば、日本が一番良いなとほっとする。
それでも旅をする人間の生態は、安寧な今の生活に満足せずに放浪と定住を繰り返す人間の本性から来ているのだろうか、本来、人間は移動生物で、定住は人類の歴史から見て、ごく最近のことだからだろう。