#生成AI 画像(が盗用や否や)問題について妄想してたらサイバーパンク掌篇ができてしまいましたのこと
(以下、生成AI就中画像絡みの今後について妄想してたらB級SF掌篇のアイデアが生まれたので、それをChatGPT3.5と演奏してみました[通算3作目]:無料で最後まで読めますが「続きを書いて!」「もっと色々演奏して!」「剣と魔法の短編を演奏して!」等という方がチャリ〜ンとお支払いいただけると、割とその気になります)
キャッシュ&バッグ
第一話「L.A.ギグ・ブルース」
港の上空は、死んだチャンネルに合わせたテレビモニターの色合いだった:つまり純粋な青だ。キャッシュとバッグは、チバ・シティの賑やかな港の端にあるカフェに座って、眺めを楽しんでいた。湿度は高く、空気はAIデータの流れの唸りに満ちみちていた。
「なあキャッシュ、今度のは単なる観光じゃねえ」バッグは隣の男に話しかけた。「あのヴィクター・"ヴァイパー"・マローンからの依頼[ギグ]だぜ。しかもブツは生成AIの動画データだってんだ、これで俺らも大物[ビッグ・ショット]の仲間入りだ」
キャッシュは応えた。「このヤマ、けったいなウラぁ無しやとええけんどな」
「相変わらずの心配性だな、相棒。大丈夫、何も問題は起きねえさ」
そこへ、スーツを着こなした禿頭の男が両手にウイスキーグラスを一つずつ持って、彼らに近づいてきた。「キャッシュとバッグ、だね?」
キャッシュは、グラスを疑念の眼差しで見つめた。「オチはなんやねん?」
禿頭の使者はさらに一歩近づいた。「オチはない、単なる善意のジェスチャーだ。飲みたまえ、長いフライトになるだろうからな」
バッグはにっこりと笑った。「無料の酒を断る理由はこの世に存在しねえな」
彼らはそれぞれグラスを手に取り、ウイスキーを一気に飲み干した。
使者は満足げに頷いた。「良ろしい。それでは、ついてきてくれたまえ。ナリタ空港に向かう」
使者についていく間、キャッシュは渡された大きなスーツケースの重みを感じた。その中には彼らが運ぶべき違法AI動画データが入っているはずで、そこに隠された秘密についての思考が彼の心をかすめた。
キャッシュは相棒のバッグに囁いた。「このスーツケースに、賞味期限あらへんとええけどな」
「落ち着けよキャッシュ。そんなんだと老けるのが早いぜ。ヴァイパーはオレたちを信頼してくれたんだ。心配すんな、何もかもうまくいくさ」
「今のそれ、この世でいっちゃん有名な辞世の句やで」
* * *
空港のラウンジで、キャッシュとバッグは不快なプラスチック製の椅子に座り、提供されたシャンパンを飲みながらフライトを待っていた。スーツケースに入った生成AI動画データは、非常に価値のあるもので、その秘密は絶対に守られなければならなかった。
キャッシュは近くのソファにゆったりと座る旅行者たちを眺めた。「正味な話、このAI密輸ビジネスがどんだけ拡大したんか信じられへんわ。20年代から…主要な国々が次々に生成AI製品を禁止し始め、産業と雇用を守ろうとしよってからや」
バッグはキャッシュに頷いた。「そうだな、相棒。あっという間だった。連中は労働者を守るつもりだったが、AI製品の需要は野火のように広まって抑えることができなかった。おかげで俺らみたいなチンピラにも仕事[ギグ]があるってわけだ、ええ?」
「せや。けんど、おもろいことにジャパンだけは「規制と許容」方針を採っとる。高齢化問題と停滞した経済をどうにかせな言うてな。EUと米国は檄オコや。基本的人権の侵害じゃ、ちゅうて」
バッグは眉をひそめた。「まあそこは否定できねえな、相棒。日本の製品はすげえもんだ。本物以上に本物ぽい動画だぜ。しかもウォーターマークは素人でも外せる。ジャパンのオタク文化さままさま、だ。生成AI動画を作り出す技巧を極めてやがるよ、連中は。ロシアや中国の「人権なんか気にしない」ブツよりも優れてる」
キャッシュはにやりと笑った。「そらサウジスラエル連邦の「機能すんやったら使用すんで」政策のブツよりも良ぉキくわな」
* * *
キャッシュとバッグは期待と緊張が入り混じった気持ちで座席に落ち着いた。日本の税関検査は緩かったかもしれないが、どんなミスも許されなかった。飛行機の客室は薄暗く、乗客たちは太平洋を横断する長いフライトに備えて座り込んでいた。
キャッシュはバッグを肘でつつき、いたずらっぽい笑顔で寄りかかった。「せやバッグ、なんやったらジャパンの生成AI製品だけちゃうかもしれんで…観光客が来よる理由は」
バッグは興味津々の表情で眉を上げた。「オチは何だ、キャッシュ?」
キャッシュは客室にいる若い女性を指差した。彼女はアジア系で、20代半ばに見え、長い真っ黒の髪、アーモンド形の茶色い目、そして色白の肌を持っていた。彼女は明らかに苦しんでおり、額に汗の玉が浮かび、目には涙が溢れていた。彼女はビデオ電話を持ち、複数の言語で謝罪していた。
キャッシュは囁いた。「あれがDLガールやで、相棒。尊厳労働[ディグニティ・レイバー]や。あの子ら、ものごっつう多言語で謝罪しよるんや。見てみい」
ビデオ電話を持つ若い女性は、言語をスムーズに切り替えながら、日本、米国、インド、EU、中国、ロシアなど、さまざまな国の顧客に次々と対応していた。画面には彼女の脈拍やその他の身体データが表示され、不平を言う顧客に送信されていた。
彼女はさまざまな言語で謝罪していた。「ごめんなさい」、「I'm sorry」、「माफ करना」、「Je suis désolé」、「对不起」、「Прошу прощения」等々。
バッグは笑い出した。「おやおや、彼女は相当な言語能力を持ってるな」
「せや。あの子、この一時間でどんだけ謝罪しよったやろな? わしらの一生ぶん合わせても、まだあの子ほど「すんまへん」言うとらんで、正味な話」
DLガールが無数の顧客に謝罪し続ける中、その仕草や汗、涙、その他の身体の反応が画面に表示され、不思議な光景を作り出していた。
バッグは若いDLの女性を指差しながら言った。「そうだな……この生成AI時代、今やすべての仕事はDLとELなのかもしれねえ。ビデオ電話の向こうに本物の人間がいると確認できることが、本物の消費なんだ」
キャッシュは悪ふざけのような笑みを浮かべながら、同意を示した。「ほんまや。どいつもこいつも、本物の人間にイケズして、イチャモンつけて、悩ませても良えちゅうことを確認したがっとんのや。セラピーみたいなもんやな」
「そういうことだ…満足と罪悪感の極上カクテルだ。昔から言うからな、『お客様は神様です』って」
「相手が「わしもほんまもんの人間や」ちうて歯向こうてくるまでの間やけんどな」
* * *
深夜の太平洋上を飛ぶ飛行機は、多くの乗客がエンジンの静かな唸りによって眠りに誘われていた。薄暗い客室で、DLガールはひとり座っており、その泣き声は夜の静けさに隠れていた。
キャッシュは彼女の席に近づき、暗闇の中で彼女のそばにひざまずいた。
「よお。長いフライトやけど、何をそないに泣いとんのや自分」
DLの女性は涙でふくれた目で見上げ、涙をこぼしながら微かな笑顔を浮かべた。「ちょっと…つらい一日だったから。わかるでしょ」
キャッシュは同情的な頷きを見せた。「せやな。誰かて、つらい日ぃいうんはある。わいキャッシュいうんや、自分は?」
彼女は鼻をすする音を立て、自己紹介をした。「私はメイ」
メイは少しためらった後、自分の半生を共有するつもりになったようだった。「——私は借金があるの。深刻な六桁の借金。今はDLガールとして働くことしかできない」
「キッツイなあ。六桁はシャレんならんわ、まじで。言うても、もっとキッツイ状況もあるけどな」
メイは困惑した表情を見せた。「これよりもひどいこと?」
「ELガールいうのんある言うてな。感情労働[イモーショナル・レイバー]や。そういう娘らは、顧客や雇用主や通行人の気まぐれで笑うたり泣いたりせにゃあかんちうんや。喫茶店や通りでや。脈拍とか発汗レベルとか画面に表示されとんねん」
メイは恐怖に目を丸くし、「ああ、それは...ひどそうね」
「まあ、人生はジェットコースターや。高いところ低いところ、楽しむしかないちうこっちゃ」
メイは涙を流しながらも微笑んだ。「あなたは不思議な安心感を与えてくれるわ、キャッシュ」
メイが反応する前に、キャッシュは顔を近づけ、ふたりは優しい口づけを交わした。
彼はゆっくりと唇を離しながら、「せやけど、言うても自分の仕事、スーツケースいっぱいの違法AIデータを運ぶんよりはマシやわな」
* * *
ロサンゼルス空港[LAX]への降下が始まると、バッグは心配そうな顔でキャッシュに振り返った。
「で、税関を通る方法はどうなってんだ? 連中、違法なAIデータを絶対見つけられるって噂だぜ」
キャッシュは囁いた。「心配無用や。内部にコネあるさかいな。馴染みの税関職員にわざと捕まんねん。ヴァイパーから毎月ゼニ受け取っとる奴や。税関でモメて、数時間一緒に事務所で茶ぁしばいて、今月の金を支払えば御の字や」
「オーケイ、キャッシュ。任せるぜ」
しかし、キャッシュが説明を終えた直後、騒然とした状況が発生した。数十人のインターポールの制服を着た隊員が、着陸したばかりの飛行機に乗り込んできたのだ。彼らがキャッシュとバッグに近づくにつれて、機内にパニックが広がった。
キャッシュとバッグは大声で「おい、何もやってないぞ!」と叫んだ。
しかしインターポールのエージェントたちは譲らず、逃げる隙もないことをバッグは悟った。
と、混乱の中でDLガールのメイが立ち上がり、自信満々に自分のインターポールのIDを見せた。
「君は十分な情報を教えてくれたよ、キャッシュ…キスをした時にね!」
数時間後。
キャッシュとバッグは自分たちの運命を知る由もなくインターポールのオフィスに閉じ込められていた。突然、オフィスのドアが開き、警備員に囲まれて例の禿頭の使者が入ってきた。
キャッシュは自分の不満を抑えきれなかった。「おんどれ裏切りよったな、このクソたれが! わしらを売ったんかい!」
使者は笑った。「ああ、心配することはないよ、キャッシュ。君たちは仕事を成功させたのだ。インターポールは君たちに目をつけていた。それが必要だったのだよ」
インターポールは彼らを解放せざるを得なかった。使者は既に保釈金を支払っており、彼らの自由を確保していたのだ。ただしスーツケースは没収された。キャッシュとバッグは、相変わらず混乱したまま、使者の全自動電動カーに案内された。
キャッシュは我慢できなかった。「スーツケースの中の商品どないすんねん?」
使者は座席にもたれかかった。目には極上の笑みが宿っていた。そのすぐ前ではステアリング・ホイールが人の手を煩わせることなく静かに動いていた。「ああ、あれはインターポールのためのお土産だよ。彼らはヴァイパーに一発食らわせたと考えてお祝いの最中だ。しかし、本物の商品は君たちの中にある。あのウイスキーを覚えているかね?」
キャッシュとバッグは戸惑った表情で見つめあい、ついに自分たちの使命の真の性質を理解した。
使者は続けた。「本物のデータはあのウイスキーの中にあった。暗号化された人工ウイルスとして。私の実験室に着いたら、特別なプラスチック・バッグに排尿してもらうことになる。それで取引[ギグ]は完了だ」
使者がその奇妙な使命の性質を説明し終えると、別の車が猛スピードで彼らの車に向かってきた。接近してくる車の運転手は、サイド・ウインドウを開けて男たちに銃口を向け、止まるように合図した。電動カーはタイヤを擦りながら急停止し、全員が降りた。
銃を持っていたのはメイだった。
「キスの後、君の唾液を調べたの。私たちが追ってた密輸業者当人かどうか確認するために、DNAサンプルをね。でも、奇妙な、コード化されたウイルスの断片を見つけた」
男たちは目を見開いた。
「撃たねえでくれ、頼む!」バッグが叫んだ。
メイはいたずらっぽく笑った。「ああ、君たちを撃つつもりはない。ただ現金[キャッシュ]が必要なだけ」
使者はしぶしぶ財布を差し出そうとしたが、メイは苦笑してキャッシュを引き寄せた——拳銃を順番に、三人に向けたまま。
「ヴァイパーは、バッグと彼の中身を持って行くといい。私はキャッシュと彼のウイルスをもらう。文字通り山分け、いい?」
使者は皮肉な笑顔をみせた。「そしてすぐさまインターポールに報告する、という段取りかね?」
メイは首を振った。「それは、このデータにどれほど価値があるか次第。ご存知の通り、インターポールの仕事って、DLやELの女性たちとそれほど変わらない...我々は常に上司の尻にキスしなけりゃいけない。しかも最近は生成AIの味しかしないし」
使者はうなずいた。
「ああ...さよう、あの味は存じ上げていますよ」
彼はゆっくりと車に戻り、バッグを連れて走り去った。
メイは依然としてキャッシュに銃を向けながら、「さて、私の車に自分で乗りたい、それとも私のハイヒールでケツを押し込まれたい?」
キャッシュは肩をそびやかした。「まあ、もっとイカれた招待もろたこともあるしな。ほな行こか」
THE END
(あとがき:
とゆわけで、英語で演奏したのが足かけ2日で子供達の世話をしながら正味2時間くらい、和訳・微調整・偽大阪弁も足かけ2日で数時間といったところでしょうか:前回よりは速くなりましたが、そろそろ和訳作業がメンドくさくなってきたので次回は最初から日本語でトライしてみたいと思います)
(追記:
生成AI技術は、運転免許かそれ以上のレベルできちんとした規制が必要だと現時点の新城は思いますが、上記のお話の核にもあるとおり、少なくとも先進諸国が一致して&同一水準で販売・輸出入・利用の規制を行わない限り「裏切ったもの勝ち」レースになるのではと恐れています)
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