『ひとり親けんこう白書』第1章シングルマザーの健康課題(後編)
シングルマザーの心と体の健康、そしてピアサポートの効果についての結果をまとめた『ひとり親けんこう白書』が完成しました。
前回は、ひとり親の生活課題、就労収入について、利用している制度や支援、心身のさまざまな不調、通院中の診療科、不安や悩みを共有できるシングルマザーの友人の有無についての調査結果をご紹介しました。
今回は、シングルマザーのセルフケア習慣、社会的孤立についての調査結果をご紹介します。
シングルマザーのセルフケア習慣
「セルフケアなんて自分には贅沢だと思っていた」という人から、「セルフケアが大事だと知りながら、優先順位が低くなってしまう」という人まで、シングルマザーとセルフケアの間には距離があります。アンケートではセルフケアの習慣を尋ね、セルフケア講座にどうやって辿り着いたかを尋ねました。
「定期的な運動(1回30分以上)に取り組んでいますか?」という質問に対し、「ほとんどしていない」が最多の53.7%。本調査は、セルフケア講座に申し込みした方を対象にしたため、そうでない方を対象に調べたら、その数字はもっと高いかもしれません。
世界保健機関(WHO)の調査※では、世界人口の4分の1に当たる14億人以上の成人が運動不足、日本では約3人に1人の成人が運動不足という結果が出ました。このように世界的な問題となっている中、今回のアンケートに回答したシングルマザーの2人に1人が定期的な運動を「ほとんどしていない」というのは深刻な数字です。
運動不足の状態が続けば、心血管疾患、二型糖尿病、がん、認知症、うつ病、不安症、不眠などの健康リスクが高まります。
シングルマザーの社会的孤立
本調査では、「セルフケア講座にどうやって辿りつきましたか?」と認知経路も尋ねました。参加者の多くが、他のひとり親支援団体からのメールやLINEの案内か、当団体のウェブサイトやSNSで情報を得て参加しています。
友人・知人からの紹介で講座を知った人は8.3%しかいません。
メールやLINEで情報を得ているけれど、SNSはしない。SNSのアカウントは持っていても、自らの発信はしていないという方が多いのも特徴です。
受講者の声からは、周囲にはシングルマザーの友人・知人がいないとか,シングルマザーであることを普段は話題に出さないようにしているとの声が聞かれました。
当団体の前身の活動で、全ての産後女性を対象に実施している認定NPO法人マドレボニータの「産後ケア講座」の認知経路は、「友人・知人からの口コミ」が70%と多いことを考えると、実に対照的な現象といえます。
次回は第2章の心身のケアの実践〜シングルマザーのセルフケア講座〜についてご紹介します。
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