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女は価値がない?〜私が自信を取り戻すまで〜

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執筆者 ami

女の私は価値がないの?

私が生まれ育ったのは田舎の小さな村でした。春には満開の桜や藤の花を見て。夏には澄んだ清流の川で遊ぶ。秋は田んぼいっぱいの稲穂の稲刈り。冬は温かなこたつに入り家族と過ごす。豊かな自然と大好きな家族。

そんな毎日に疑問を感じ始めたのは、私が10歳頃のことでした。

長男である弟だけに寄せられる祖父母からの期待。

「弟君は、長男で家を継ぐから表札を買ってきたよ」

親族や自治会の集まりでは、宴会で盛り上がる男性たちの傍ら、台所で給仕をする母や祖母ら女性たち。

「amiちゃんもお料理運ぶのを手伝ってくれる? 弟君はお座敷でお父さんたちと座って待っていてね」

「私は女だからこの家には必要ないの?だから私の名前の表札はないの?」

「私は女だから家事をしないといけないの? 1歳違いの弟はやらなくていいのに?」

こんな風に感じはじめたことがきっかけでした。

私は女に生まれたから1つ下の弟よりも価値がないのだろうと思いました。

息苦しい生活と持てない自信

私の価値を認めてもらうために、弟には負けられないと頑張りました。

しかし、勉強で学年1位になっても、部活で全国大会に出場しても、なぜか自分に自信を持てません。

「どうせ私がやっても意味ない」

「きっと私にはできない」

地元での生活は、息苦しく狭く暗い部屋に閉じ込められているようでした。人と目を合わせることも苦手で、自分の足元ばかり見ていました。

この場所を離れればこの状況から抜け出せるんだと思い、大学進学をきっかけに他県で一人暮らしを始めました。それでも私の心が晴れることはありませんでした。

とうとう大学生の頃、私の心は限界を迎え、うつ病の診断を受けました。その後、就職しましたが、メンタル不調を抱えた状態では仕事を続けることができませんでした。そんな状況でも、どうしても実家に帰ることは嫌で、当時付き合っていた恋人との結婚を選びました。

結婚生活の終了と父母との和解

約7年間の結婚生活を終えることになった時、父母から地元に帰ってくるように言われました。

「男性ばかりが尊重される地元は、女性である自分にとって生きにくく、つらい。どうしても帰りたくない」

私が今まで感じてきたことを初めて両親に伝えました。

それを聞いた二人の電話越しの涙声は、今でも忘れられません。

仕事も家もなく、子どもを抱え、それでも地元に戻りたくないと言う私の気持ちを理解し、経済的に支えてくれたのは、結局実家の父母でした。

思いもよらない離婚をして、実家に帰ることを拒んで父母を悲しませた。そんな娘を助けてくれたのです。そこから、私の両親や実家に対する思いは変わっていきました。

以前は実家のことを考えると面倒くさくて心が重たくなりましたが、次第に心配してくれることに感謝を感じるようになりました。

ひとり親として経済的に自立したい

離婚してひとり親になり、経済的に自立できない自分に焦りと不安が募りました。当時は息子もまだ幼く、正規雇用を目指して何度か転職するものの、望む仕事に就くことはなかなか難しい状況でした。

「どうせ私がやっても意味ない」
「きっと私にはできない」

そんな思いがまた蘇ってきました。

転機が訪れたのは、今の職場への転職でした。なかなか仕事が覚えられずに注意されてばかりの日々。契約社員でしたので、いつ契約を切られるかと思うと上司の顔を見るのも恐く、職場へ向かう電車の中で吐き気やめまいを感じることもありました。毎日、また失敗するんじゃないかと不安を感じていました。

でも、息子との生活のために頑張りたい、自立したいという思いで踏ん張りました。小さな業務や雑務も精一杯行ううちに、重要な仕事も任せてもらえるようになり、次第に職場で評価してもらえるようになりました。

仕事への不安も少なくなり、もっと頑張ろう、成長しようと前向きな気持ちを持てるようになりました。真面目に仕事にとりくんで今年で勤続4年目。小さなステップを1歩ずつ越えて、契約社員から正社員、そして今はリーダーとして働いています。

これまでは、当時の夫や父に経済的に支えられてきました。

今、はじめて自分の力で生きられるようになったと感じています。

自信を取り戻して羽ばたく

男性の力に頼らずに自立して生きられる。このことは、私に「自信」を取り戻してくれたように思います。

「私も挑戦していいんだ」

「私だって頑張ればできる」

今は自分に期待することができます。女性だからという理由で自分を卑下することもありません。

そして私の周りには、一緒に目標を目指す職場の仲間や、励まし合えるシングルマザーの仲間がいます。時々LINEで近況を伝え合える実家の家族がいます。

自立したことで、逆に人の力を借りれるようになり、人とコミュニケーションをとることが楽しく感じられるようになりました。

女である私には価値がないと思ったあの頃から約30年。やっと羽を伸ばして前を向いて進めるようになりました。人生100年時代、これからの自分が楽しみです。

最後までお読みいただきありがとうございました。このエッセイは、シングルマザーズシスターフッドの寄付月間キャンペーン2022のために、amiさんが執筆しました。

寄付月間とは、「欲しい未来へ、寄付を贈ろう」を合言葉に毎年12月の1か月間、全国規模で行われる啓発キャンペーンです。シングルマザーズシスターフッドは寄付月間2022のアンバサダーにもなっています。

今年のキャンペーンでは「Turn lemons into lemonade.」をキャッチフレーズに、シングルマザーが試練を転機に変えたエピソードをエッセイにして、人生を前向きに進める一人ひとりのシングルマザーの生き方を祝福します。

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