見出し画像

シングルマザー、家を買いたい

執筆者:追いがつお

「こんなチラシがポストに入っていたよ」姉からLINEが来たのが、数日前。姉の住んでいるマンションの一室が売りに出されていた。
「え、いいな」私の返信。

そこからすぐに不動産会社へ問い合わせをし、翌日には担当者と話をして、ローン仮審査に申し込んだ。

今の家のお話

離婚したのは1年前。ずっとお世話になっているファイナンシャルプランナーと離婚の時に今後のライフ&マネープランについて話をした。

・子どもたちには、やりたいことはやらせてあげたい
・大学までの教育資金はしっかりと今から貯めておきたい
・お金を理由に、諦めることはしたくない
・たまには旅行にも行きたいし

わがまま過ぎる私の夢に対し、現実のマネーグラフは、厳しかった。

「賃貸が痛いですよね。仕事をリタイアしてからも家賃を払い続けるのは、厳しいです。」

ファイナンシャルプランナーの言葉は、私に刺さった。安くはない家賃が痛いなと思っていた。

離婚と同時に引っ越しをし、今の家に住み始めた。子ども2人と私の、3人で住むには十分な広さと、姉の家に近いという立地で決めた。今の家は気に入っている。玄関に、小窓があって、そこから「行ってきます」と元気に出発する子どもたちを見送ることができるのが一番のお気に入りポイント。

けど、ひとつだけ。
離婚前に娘と私で使っていたピアノを置けていないことが、気にかかっていた。アパートのつくりの関係で、搬入が出来なかった。

「いつかは、家を買いたい」そう思って、頭金を貯めること、家に関する情報を集めることをがんばろうと決めた。

そんな矢先、シングルマザーズシスターフッドの寄付月間キャンペーンでボランティアスタッフとしてマネーリテラシーに関するエッセイの校正をお手伝いする役割に手を挙げた。様々なエッセイから、お金に関する知識、預貯金・収支などを把握すること、自分にとって心地の良いお金の使い方をすることなどの大切さを改めて確認する機会になった。

お金や将来に対しての意識が大きくなっていた。

そんな絶妙なタイミングでの姉からのLINEだった。

「いつかは、家を買いたい」が、「家を買いたい」に変わる瞬間だった。

キャリアを築く、こと

不動産会社に問い合わせをし、打ち合わせをすることになった。最近このあたりの物件は人気で、気に入ったものがあったらスピードが大事と言われた。そこで、すぐにローン仮審査に申し込むことにした。用意したのは、運転免許証 、保険証、会社の名刺、6年分の源泉徴収票だった。

6年分の源泉徴収票をまじまじ見てみると、毎年の変動が激しい。わかってはいたけれど、落ち着かない自分の経歴に向き合った。転職、雇用形態の変化、フルタイム勤務、短時間勤務、育休取得、など、一年ごとにコロコロと勤務の形が変わっていた。その間に離婚も経験したので、住所も名前も変わっている。変わらないのは、社名だけだった。

6年分の源泉徴収票を見て、仕事を辞めなかった自分をほめてあげようと思った。キャリアを築くって、私にとっては、こんな感じ。

ローンを組むための条件

そんなこんなで申し込んだローン仮審査が通った。条件付きの仮審査通過だった。離婚の時の協議書を提出するよう求められたのだった。そして協議書に記載があった、婚姻関係時に元夫の母から援助してもらったお金が負債とみなされ、その金額を一括で返すことが条件になった。

お金を一括で返すことは、なんとかできそう。ただ、その証明書を取得するために、元夫や、元義母に連絡をとり、署名捺印を貰うことが、難しい。

離婚理由は身体的&精神的DVだった。

「家を買うために、署名捺印が欲しい」なんて伝えたら、またどんな嫌がらせをされるかわからない。離婚前の恐怖がまた私に襲ってきた。どうしよう?こんなことで、家を買うことを諦める?離婚したのに、私の人生、まだ元夫の影響を受けるの?そんなモヤモヤした気持ちのまま、一晩を過ごした。

ダメもとで、銀行と直接話をさせて欲しいと、不動産担当者に相談した。担当者の方も、なんとか打開策はないか、考えてくれている。その数時間後、銀行の担当者から電話がきた。事情を説明すると、親身に状況を聞いてくれ、銀行側でも再度検討してくれると回答をくれた。

落ち着かない私の人生は、いつも誰かに助けられる。今回もきっと。

家を買う、こと

また「家を買いたい」件で、ファイナンシャルプランナーの方と話をすることに。「家を買う、一番はどんな風に生活したいか、どこで生活をしたいか、自分のやりたいことなんですよね。」と言われた。

やっぱりまだまだマネーグラフの現実は厳しいけれど、私はどんな風に生活をしたいのか。

ひとつ。一番最初に思い浮かんできたのが、ピアノを置くこと。ピアノのある生活をもう一度手にしたい。

いろんなハードルを乗り越えて、ローン本審査が通れば、私は今回家を買う。したい生活を、環境を買う。

今回だめでも、またチャンスはくるはず。

シングルマザー、家を買いたい。

なりたい自分、したい生活。そのためにキャリアを築き、収入を得て、お金を貯めてお金を使う。それが私の、心地いいお金のバランス。

シングルマザーズシスターフッドのキャンペーンスタッフとして活動し、実感したこと。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。このエッセイは、NPO法人シングルマザーズシスターフッドの寄付月間キャンペーンのために、シングルマザーの追いがつおさんが執筆しました。
このキャンペーンでは、シングルマザーのマネーリテラシー向上を呼びかけています。「こういう支援て大事よね!」とご共感、ご賛同くださる方には、ご寄付をお願いしております。いただいたご寄付で、シングルマザーがマネーリテラシーを身につけるための講座を実施いたします。ぜひ、寄付月間キャンペーン応援ページもご覧ください。


よろしければサポートお願いします。いただいたサポートはひとり親の心身のセルフケアとエンパワメントの支援活動に使わせていただきます。