見出し画像

オリジナル曲づくり

さて、オーディションに合格し、いよいよ歌手デビューに向けて動き出しました。まずはボイトレのグループレッスンを受けて音域の確認。それからブロデューサーとの面談と進んでいきます。事前にもらっていたヒアリングシートに、どんな曲が歌いたいか、細かく記入する宿題がありました。歌手になりたいと願ったけれども、歌で何を伝えたいのか。自分の向き合いがはじまりました。

何で歌手になりたいと思ったのか。それは生きているうちに体験してみたいことだったから。生きることをもっと感じたかったから。自分の好きなように自由に生きてみたかったから。

20代の頃、会社員としてバリバリ働いていた時。自分のやりたい仕事で自分の専門分野も活かせて、やりがいある職場でしたが、思うように成果が出せず、自分へのやるせなさと無力感と社会に上手く適応できない自分への絶望で、会社の屋上に登っては、よく死を考えていた。世界は灰色で、自分の何もかもが信じられず、自分なんていないほうがいいんだという囁きが続く、それは生きているのに、まるで死んでいるかのような、何も感じたくない、何も希望がない、出口のないトンネルに迷いこんだような、 暗く重たい記憶・・・・・

あの時の私自身に歌を贈りたい。そう思った。希望もなにも持てなかった時から、10年以上経った今、私は諦めていた忘れていた夢の入り口に立っている。あの時、死を選ばないでいてくれて、ありがとう。よく踏ん張った。大丈夫だよ。未来の私は生きている。生きることを取り戻して、夢見ることを許したんだ。だから大丈夫。一歩踏み出そう。そんなフレーズが浮かんだ。

そのままの気持ち、想いをプロデューサーさんに伝えて、それから曲のイメージを一緒に作りあげていった。ブロデューサーさんはテキパキと曲のイメージを練り上げていって、あっという間に打ち合わせの時は終わった。それから1ヶ月で、私の、初めての曲が出来上がった。

最初は怖くてなかなか聴けなかった。聴いてしまったら歌わなければなかない。それが怖くて怖くて。一歩、一歩、自分を許して、歌を自分のものにしようと向き合いはじめました。

私の歩みはゆっくりゆっくりで。ボイトレも月1回か2ヶ月に1回。音程も安定しない、声は出ないはで、とてもデビューには程遠い。私はそれでも自分のベースを許して、歌手なるためのメンタルも一緒に築く必要があった。人一倍、自己否定が強くて、自分に自信が持てない私。それでも、歌が、自分のために作ってもらった詩が、今の私を支えてくれた。過去の私も、今の私も、歌で支えられ、前に進んでいった。そうだ、そんな歌が歌いたいんだ。そんな想いを伝えたいんだ。私の歌で誰かが勇気の一歩を踏み出せたら、そんな嬉しいことらないんだ。

気づいたら曲が出来て1年が経っていた。コロナの影響でストップしていたレコーディングがやっと出来る。もう、大丈夫。大きな夢の前にブルブル震えていた私は、しっかり自分の足で立っている。

明日、念願のレコーディング。今の自分のレベルは正直いってまだまだひどいものだけど、今のこの未完成な自分だからこそ、伝えられる歌なんだ。最初の一歩は誰でも怖い。だからこそ、一歩踏み出そう。完璧じゃなくていい。この歌を、今の私の、精一杯で歌おう。

❴Origami❵

作詞 彬子 作曲・編曲 甚佐浩太

いつの頃から私は私じゃなく
誰かの色に合わせるように織りなす
不揃いの角 不器用な折り鶴

空を見上げ 風を感じたなら
自分を許せるはず
一歩前へ進もう

いつの頃から 自分を信じられずに
色をなくした 景色が蘇る
ここがどこかも 分からずにいたけど

羽を広げ 飛び立つの今すぐ
自分を信じていて
空高く羽ばたこう

負けてもいい
完璧じゃなくていい
自分を許せるなら
一歩前へ進もう
羽を広げ 飛び立つの今すぐ
自分を信じていて
空高く羽ばたこう

歌 Canary

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?