ちょいと96.2km先のところにある道の駅まで酒と魚と器を買いに行ってきたら晩酌が天国になった
勤労感謝の日だった昨日。通常であれば祝日は夫婦揃って休日なのだが、ここ最近忙しい日々が続いている夫は昨日も仕事だった。
「休みなのに、お弁当ありがとね」
いつものようにお弁当を作っていると、夫が申し訳なさそうにそう言う。
「こちらこそ、毎日お仕事ありがとね。今日は一人で休んでてごめんね。」
そう答える私。
「気にしないで、ゆっくり休んでてね。」
と、夫。
「うん、最近ちょっと疲れてたから、今日は家でゆっくりさせてもらうね。」
そう答えた私だったが、本当はゆっくり休むつもりはない。
夫が仕事で私だけが休みという珍しいパターンのこの日、私には、密かにたくらんでいたミッションがあった。
夫を送り出し、朝食の洗い物や洗濯をひととおり済ませた後、私は今日行こうとしている場所の営業時間と、車での距離を再度確認した。
目的地はこちら。
目的は、4つ。
まずは、ここに行かなければ買えない美味しいドレッシングを買うこと。
そして、最近地元スーパーではめったに買えなくなってしまった、福島県産の常磐ものの魚を買ってくること。
さらに、道の駅に併設されている「なみえの技・なりわい館」で、鈴木酒造店さんの日本酒と、何か夫の還暦記念になるような大堀相馬焼の器を買うことである。
というか、4つ合わせて、夫をビックリさせて、仕事の疲れを忘れて喜んでもらうというのが最大のミッションである。
ナビタイムで検索された走行距離はこちら。
片道96.2km。
100km以内なんて近いじゃん。全然余裕。
心の中で、そう呟いてしまう元北海道民。
ちなみに、北海道にいた頃に私がよく日帰りで買い物に出かけていた街までの運転距離がこちら。
宮城に来てからの友人や関東在住の友人知人達には「アンタの距離感はバグっている」と何度か言われたことがあるが、こういう距離を普通に運転する生活を長年送っていたのだから仕方ない。
ガソリンを補給し、お気に入りのCDを車に積んだら出発。目指すはロッコク(国道6号線)。
祝日ということもあってか、6号線に入る手前の国道4号線仙台バイパスが大渋滞で時間を取られるも、途中で休憩を挟みつつ快適なドライブ。
2時間半後、私は目的地の道の駅なみえに到着した。
まずは、腹ごしらえ。
こちらのフードコートは魅力的なメニュー満載なのだが、夫を喜ばせるミッションのために来ているのに、夫が仕事している間に自分ひとりだけ贅沢な海鮮丼や請戸産のシラス丼を食べるのは心苦しい。
とはいえ、ここまで来たら、やっぱり名物のなみえ焼そばは食べたい。
悩んだ末、選んだ昼食はこちら。
オリジナルのコッペパンが人気の「まちのパン屋さん ほのか」さんで販売されていた、なみえ焼そばパン。
道の駅で購入した「なみえの水」とともにいただく。
なみえ焼そばパン、包みを開けてまず驚いたのが、具の豚肉の大きさとぶ厚さ。焼きそばの具というより、普通に焼き肉サイズである。しかも、柔らかくてめちゃくちゃ美味しい。
なみえ焼そばは普通の焼きそばよりも麺が太いだけにたっぷりとソースが絡んでいて、パンとの相性も抜群。そのパンがまた美味しい。小麦の香ばしい風味がたまらない。紅しょうがも豪快に乗っているのが嬉しい。
パンも具の焼きそばも食べ応えがあって、これ1個でお腹いっぱいになった。
道の駅でのお買い物は、まずお目当ての「浜の輝(はまのかがやき) たまねぎポン酢ドレッシング」をカゴに入れる。
こちらは以前noteでも紹介したが、浪江町のブランドたまねぎ「浜の輝」を使ったドレッシングで、何にかけても美味しい万能調味料である。
このドレッシング、前回買った際はあまりの美味しさにすぐ食べきってしまった。
今回もすぐに無くなってしまうだろうな、2本買おうかな、と迷ったが、他にも買いたいものが多いので今回はとりあえず1本。
道の駅での今回の買い物はこのドレッシングと魚だけの予定だったのだが、ドレッシングをカゴに入れた後、ふとすぐ横の冷蔵コーナーに目を移せば、福島県田村市の「ホップジャパン」さんのビールが。
これは、まだ飲んだことが無い。というか、宮城では見た記憶が無い。
美味しいものとの出会いは一期一会である。この機会を逃すのはもったいない。
たくさん種類がありどれも美味しそうだったが、今回は田村市産ホップだけを使用しているというフレッシュホップビール「Abukuma FRESH」を1本チョイス。
続いて、本来の目的・冷凍のお魚売り場へ。
さすが地元。請戸港直送のお魚がたくさん並んでいて嬉しくなる。
シラスにもメヒカリにも魅かれたが、せっかくここまで来たのだから、夫を驚かせるようなインパクトのある大きな魚を買いたい。
ということで、選んだのがこちら。
請戸産ムシカレイの干物。
写真では大きさが伝わりにくいかもしれないが、ゆうに30センチ超えのビッグサイズである。これぞ、常磐もの。
と、冷凍ものの魚をカゴに入れてから、家から保冷バッグを持ってくるのを忘れたことに気付く。
エコバッグはたくさん持ち歩いているので、保冷剤が販売されていればなんとか持つか。でも、11月とはいえさすがに2時間超の移動。保冷バッグ無しは不安である。
私は、近くで品出し作業をされていたスタッフの方に声をかけてみた。
「すみません、こちらで保冷バッグって販売されていますか?」
すると、
「はいっ!レジで保冷剤付きの保冷バッグ扱ってます!なんなら発泡スチロールのアレもありますっ!!」
満面の笑みで、めっちゃ力強いお言葉。
「ああああありがとうございますっ!!!」
思い出した。
これまでも、道の駅なみえでお買い物をした時は毎回スタッフさんと何かしら楽しく会話してきたんだった。前回はタマネギの話で盛り上がったり、福島の桃の美味しさアピールがめっちゃ力強くて楽しかったり。
だから、いろんな街の中でも特に浪江町が好きになったんだった。
なんだか嬉しくなってしまい、先ほどのカレイと一緒に同じく請戸産のヒラメのムニエルも買い物かごへ。
こちらは下処理・味付け済であとはフライパンで焼くだけの状態になっているもので、以前にも購入して食べたのだがレストランのお味かと思うほど美味しかった一品である。また購入出来て嬉しかった。
この他に、せっかくドレッシングを買うのだから地元の野菜もと思いいくつか購入。
次は、同じ敷地内にある「なみえの技・なりわい館」へと向かう。
まずは、鈴木酒造店さんへ。
磐城壽は、私も夫も大好きな日本酒のひとつ。
しかし、今回は自分で運転してきたので試飲は出来ない。頼りは、ラベルと紹介文だけ。その紹介文がひとつひとつ本当に丁寧に解説されていて、読んでいるとどれも美味しそう。全部試してみたくなってしまう。
悩んだ末、2本購入。
ビールも買ったし日本酒は1本だけにしようと思っていたが、1本に絞るのは無理だった。いやむしろ迷いに迷いまくった末にどうにか2本だけに絞り込んだ自分を褒めたい。マジで褒めたい。頑張ったよワタシ。
ここまでで、本日のミッション4つのうち、3つクリア。
この時点ですでに予定していた時間を過ぎていた。
予定していた予算も、結構超えていた。
ここは、大堀相馬焼はまたの機会にしようかと思いつつ、でもやっぱり見てしまう。
大堀相馬焼を初めて知ったのは、もう何年も前のテレビ番組だった。
もともと貫入(焼き物の釉薬の表面にできたヒビ割れ模様のこと)の入った器が好きだったこともあって、私はテレビで大堀相馬焼を見てひと目惚れ。その後、初めて実物を手にし購入したのは、現在の道の駅なみえではなく、夫に案内してもらって楢葉町の道の駅を訪れた際のことだった。
その後、道の駅なみえに「なみえの技・なりわい館」が出来て大堀相馬焼コーナーが設けられてからは、訪れる度に少しづつ買い足している。
今回も、素敵な品がたくさん。
迷う。
でも、買い過ぎているし。
ってか、両手ふさがってるし。
この状態で焼き物を買うのは危ないよね。
ダメだよね。
私は車に戻った。
車に戻り、先ほど道の駅で買った魚やビールと、今買ってきた日本酒とを車に積んだ。
そして、運転席に座り、自分に言い聞かせる。
ここまで来たんだからやっぱり買おうよ。
意思が強いんだか弱いんだかよく分からない。
そんな自分が好きだ(ダメ人間)。
荷物も車に積んで身軽になった。
私はいそいそと大堀相馬焼コーナーに戻り、以前から欲しかった小さなタンブラーを2個購入した。
すっかり顔なじみになった大堀相馬焼のスタッフの方には、先ほどからの不審な動きが気付かれていた。
ありがたいやら申し訳ないやら。
でも、やっぱり嬉しい。
大堀相馬焼のスタッフの方、正確には「大堀相馬焼ウーマン」※として活動されているスタッフさんとは、X(旧Twitter)では相互フォローになっていた。
大堀相馬焼ウーマンとは、福島県浪江町の魅力をPRするために集結したご当地ヒーローチーム「なみえアベンジャーズ」の一員。マスクマンならぬマスクウーマンである。ツイッターでは、浪江町の様々なイベント情報、そしてマスク姿での写真を日々発信されていて、私も夫もその勇姿をいつも楽しく拝見していた。また、私や夫が大堀相馬焼の器での晩酌写真をアップする度に反応もいただいて、嬉しく思っていた。
8月からXにログイン出来ない状態となった私は、その後も何度かサポートセンターに問い合わせてはみたものの状況は変わらず。noteにこうして日々の出来事を書くのが習慣となった今では、Xに問い合わせることも無くなり、Xからすっかり遠ざかっている。
残念ながら、大堀相馬焼ウーマンさんの素敵なツイートの数々も、今では夫から時々見せてもらうだけになってしまった。
けれど、今回それでもスタッフさんから声をかけていただいて、久しぶりにお話しができて、本当に嬉しかった。
楽しいお買い物を終えて、帰路につく。まだまだ名残惜しいけれど、またいつでも来られるから。
帰りは大きな渋滞も無く、福島、宮城の海沿いの夕暮れの景色を楽しみながら、のんびりとドライブを楽しんだ。
「え?何?え?え?ちょっと待って?どこ行ってたの?!」
帰宅してテーブルの上を見た夫は、うろたえつつも嬉しそうでほっと一安心。
夫をビックリさせ、仕事の疲れを忘れて喜んでもらうというミッション、大成功である。
全部美味しかった。
そして、買い物の際の出来事を夫に報告していたら、いつも以上に笑いの絶えない晩酌になった。
ちょいと96.2km先のところにある道の駅まで酒と魚と器を買いに行ってきたら、晩酌が天国になった。
ありがたいことである。
往復走行距離 約200km。
行って良かった。
道の駅なみえでお会いした皆様、ありがとうございました。
また行きます。