岩手県北上市 温泉一泊プチ旅行記【前編】
「疲れた!温泉行こう!」
夫婦揃って残業で帰宅が夜8時を過ぎる日が続くようになったある日、夫が突然行った。
「行く!」
妻も絶賛疲労困憊中。断る理由は何もない。
「どこ行く?」
「温泉で泊まれるならどこでもいいべ。」
「だね。あと、あんまり遠くないところがいい。」
「だな。安く泊まれてごはんも付いてるところを探そう。」
思いついたら即行動。その日は晩酌しながらパソコンを立ち上げ、夫婦で近場の温泉宿をネット検索。
そして見つけたのが、岩手県北上市の「水神温泉」だった。
県外とはいえ北上市ならば東北道を使えば車で2時間程度。運転も苦にならない範囲内である。
いつもなら一泊二日でも予定を詰め込むが、今回の目的はあくまで保養。ネットで見つけた温泉宿に予約を入れると、あとは完全にノープラン。同じ日に北上市内で郷土芸能の鬼剣舞が見られるイベントが開催されるとの情報を得て、それは見に行こうと決めたものの、他は予定無し。とにかく温泉に入ってのんびりしよう、観光も無理はせず、早めに帰ってこようと話して出発したのだが、結果的には驚くほど充実した一泊二日のプチ旅行となった。
ラ-メン道楽の店 あたりや 北上店
北上市に着いたのは6月29日のお昼前。北上市内に入ってからネット検索したラーメン店が休日だったり移転したのかたどり着けなかったりで、とりあえず国道から入りやすい店を探して下調べ無しに飛び込んだのが「ラーメン道楽の店 あたりや」さんだった。
何の予備知識も無く入ったのだが、実は地元の人気店だったらしい。次々とお客さんが入ってくる。メニューも豊富でラーメン屋さんというより町中華のお店のよう。
私は「あたりや支那そば」を単品で、夫は同じ支那そばを餃子とチャーハンとのセットで注文。
「あたりや支那そば」は、あっさりスープに柔らかめの麺。とろとろ系ではなくぎゅっと噛み応えのあるチャーシュー。
お値段が手頃なのもありがたい。近所にこういうお店があると嬉しいだろうなぁと思う。
美味しかった。ごちそうさまでした。
北上市立博物館
昼食後は郷土芸能のイベントを見に行く予定だったのだが、会場となる「鬼の館」の駐車場はすでに満車。しかも、会場周辺にまで車の長い列。
残念ではあったが、催しが始まる前の時間に到着出来なかったこちらが悪いのでこればかりは仕方ない。翌日も鬼剣舞を見られる催しがあったので、これは明日にしようと諦める。
となると、もともとノープランの旅な上に、宿にチェックイン出来る時間まではあと2時間もある。
「どこか行く?」
「近くに博物館あるっぽいから行く?」
「じゃあ行ってみよう」
何の予備知識もなくスマホのナビだけを頼りに向かったのは、北上市立博物館。
しかし、これが大正解。
到着して早々、大きな船を見つけて夫婦でテンションが上がる。
縄文時代から近代に至るまでの北上の歴史にまつわる様々な品が展示された博物館。海運や漁業に関する展示にテンションが上がったのは言うまでもなく、加えて土器土偶好きの妻と鬼瓦好きの夫という我々夫婦的にはお宝の山のような展示品の数々。
写真撮影OKな展示が多かったのに撮ることなんぞすっかり忘れ、ハイテンションで見入っていたらあっという間に1時間以上経過。
土器ばかりでなく、北上の歴史が分かる興味深い資料が多数。
ここは是非再訪したい。
水神温泉湯元東館
北上市立博物館の見学を終えるとチェックインの時間になったので、宿に向かう。
今回泊まったのは「水神温泉 湯元東館」さん。
純和風なお宿。
着いて早々にまずはひとっ風呂浴びる。
透明なお湯はさらりとしていて匂いも無く、温度も高すぎずぬるすぎず適温。しかし、入っている時よりも上がった後に身体がほてってくる。全く湯冷めしない。
これはいいねぇと部屋に戻り、食事前から缶ビール。
自動販売機で買ったビールがキンキンに冷えていて、美味しすぎ幸せ過ぎで撃沈。
夫婦でぐだーっと昼寝、からの、夕食。
今回はボリューム控えめの「あずまかん懐石」を予約していたので「足りなかったら、部屋でおやつ食べよう」とか言いつつ食堂に向かう。
足りないどころか「これで控えめなら通常の御膳はどんなことになるの?!」なボリューム。
しかも、美味い。
フキや根菜は期待通りだったし、豚の陶板焼きも美味しいだろうと思っていて本当に美味しかったのだが、正直な話、内陸部の北上市でこんな新鮮なお刺身をいただけるとはちょっと予想していなかった。
どの料理も、外れ無し。
そりゃぁ、酒もすすむというもの。
夫婦揃って満腹。
夕食後に部屋で食べるつもりで夫が買っていたかりんとうや御煎餅を開封することも無く、この日は就寝。
そして翌朝。
朝風呂からの朝食。
シンプルだけれど、「こういうのでいい。いや、こういうのがいい。」と呟きたくなる朝ごはん。山菜の漬物と煮物がさすがの美味しさ。あと、北上の納豆が添えられていたのが納豆好きには嬉しかった。
水神温泉 湯元東館、また是非訪問したい。良い宿でした。
入畑ダム
宿のチェックアウトは午前10時だったのだが、この日見に行く予定でいた鬼剣舞の催しがスタートするのも同じ時間だったので、朝食後は早めにチェックアウト。
会場の「北上市立 鬼の館」に向かう前に、ちょっと足を伸ばして入畑ダムに行ってみた。
展望台へと続く階段には雑草が生い茂ってはいたものの、景色は素晴らしく駐車場も完備されていた。
ここは穴場の観光スポットかもしれない。
北上市立鬼の館
ダムへの寄り道の後は、いよいよ「鬼の館」へ。
こちらの入り口前の野外ステージで伝統芸能の催しが開催されるという。
到着した時点ですでに駐車場は八割方埋まっていて、人気のほどがうかがえる。催しのスタートまではまだ時間があったので、先に館内の展示を見学することにした。
前日訪問した博物館といいこちらの鬼の館といい、展示されているものの数や展示方法の工夫等もあり、ずっと見ていられるし、また何度でも見たくなる。凄いぞ北上市。
ちなみに夫婦で展示を見ている間、おそらくこの後に始まる民俗芸能の鬼剣舞に出演するであろう小学生くらいの子供達が館内を楽しそうに見学していて、その身にまとった装束と帯に付けられているらしい鈴のシャンシャンと鳴る音が、展示内容と相俟って異界の雰囲気を漂わせていた。
この「鬼の館」自体、今回の民俗芸能の催しが無かったら知らなかったと思う。
イベントを主催された方々に感謝である。訪問出来て良かった。ここも、また是非行きたいと思う。
この後、鬼の館の前の屋外ステージで鬼剣舞を見てきたのだが、長くなったので続きはまたあらためて。
※追記
後編書きました。