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納豆オムレツ大好き一般人が、納豆関連の見出し詐欺的記事を検証する


はじめに~納豆入り卵焼きは美味しい~


 更新が前後してしまったが、日曜の朝食はいつものローリングストック消費でペペロンチーノにした。
 合わせたのは、納豆とネギをたっぷり加えた卵焼き。

2024.11.10朝食風景
リュウジさんレシピのペペロンチーノと
納豆とネギ入りの卵焼き

 納豆ひとパックにたまご2個、ひとつかみほどの量の刻みネギを加えた卵焼きはボリュームたっぷり。そして、美味しい。
 野菜不足は昼食と夕食で補うとして、タンパク質と炭水化物は十分に満たした朝食になった。

1.納豆の加熱調理を否定する人〜「ナットウキナーゼ」とは?


 近年、納豆に含まれる成分のうちのひとつ「ナットウキナーゼ」に、血管にできる血栓を溶かす働きがあるとの説が、広く語られるようになった。
 しかしながら、あくまで成分としての効能であり、経口摂取(食べること)によってその効能が発揮されるとの実証実験データは無いのが現状である。


 納豆を食べて血液がサラサラになるとの効能は現時点では断定出来ない状況にもかかわらず、テレビ等でその効能が取り上げられることは多く、そのたびにスーパーマーケットの店頭で納豆が品薄になる状況が繰り返されている。

 その一方で、「ナットウキナーゼは熱に弱い」という説も、ウェブニュースや個人ブログ等で度々流布されている。
 その中には
 「納豆に加熱調理は厳禁!」
あるいは
 「温かいごはんと一緒に食べるのも意味がない」
などといった極論も目にする。
 そんな極論を目にすると、疑問を抱かざるを得ない。
 「納豆、その食べ方NG!」だの「食べないで!」だのといった見出しがついていれば、尚更である。

 果たして、その極論は事実なのだろうか?
 そもそも「熱に弱い」という説の根拠となる「熱」の温度は何度なのだろうか?


 個人攻撃が目的ではないので記事の引用は控えるが、そうした記事の多くが記載しているのは、「ナットウキナーゼは乾燥した納豆で70~90℃、水分が多い状態だと50℃以上で変質してしまう(=効果が無くなる)」という説である。
 しかし、温かい食べ物を人間が美味しいと感じられる温度帯はおおよそ62~70℃とされており、炊飯器の保温設定温度もおおむね60℃~70℃である。
 「ごはんと一緒に食べると納豆の栄養価が失われてしまう」と訴える人は、70℃超の炊き立て熱々のごはんを毎日食べ続けているのだろうか。
 一口目だけでなく、ずっと熱々の状態で。
 毎日毎食、石焼ビビンバなのだろうか。
 それはそれで少々羨ましい気もするが、納豆の栄養価の心配をする前にご自身の口中の火傷にご注意されたほうが良いのでは?と老婆心ながら思ってしまう。
 ちなみに、ごはんを美味しく食べる温度は47℃~48℃との説もある。自分自身の経験からいっても、せいぜいこのくらいの温度だろうと思う。
 80℃~90℃の炊き立て焼きたて熱々ばかりでは、せっかくのお米の味が分からないのではないだろうか。

2.そもそも納豆は栄養豊富である



 「でも水分が多いと50℃でもダメなんでしょう?だったら納豆汁ってダメだよね?」
 「乾燥していても70℃で変質するなら、やっぱり加熱調理はダメなんじゃないの?」

 そんな反論もあるかもしれない。その点は、確かにそのとおりである。
 しかし、納豆に含まれる栄養成分は、ナットウキナーゼだけではない。

 文部科学省の食品成分データベースで検索すると、納豆100gに含まれる栄養素は、たんぱく質16.5g、脂質10.0g、炭水化物12.1g、ナトリウム1mg、カリウム690mg、カルシウム91mg、マグネシウム100mg、リン220mg、鉄3.3mg、亜鉛1.9mg、銅0.60mg、マンガン1.39mg、さらにビタミンK、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸などの各種ビタミン、各種アミノ酸と多岐に渡っていることが分かる。


 もちろん、これはあくまで納豆100gの含有量であり、納豆1パックの含有量ではない。
 多くの市販の納豆は1パック45g程度の分量なので、実際に一食で摂取出来る栄養素はおおよそこの半分である。
 しかし、納豆に多種多様な栄養素が豊富に含まれている事実は変わらない。

 本来、納豆は、栄養豊富で美味しい発酵食品である。
 そもそも、現時点では食べた時に血液サラサラ効果があるかどうかも定かでないナットウキナーゼなどという成分だけを気にして温度云々を語るよりも、すでに健康効果が実証されているたんぱく質やカルシウム、鉄や亜鉛、各種ビタミンなど他の多くの栄養素のほうがよほど大切である。
 ナットウキナーゼなど忘れ、自分の好きなように美味しく食べるほうが、圧倒的に身体に良いのではないだろうか。

3.納豆は朝晩食べて良い(1日2パックなら摂取推進量範囲内)


 ちなみに我が家は、ほぼ毎日欠かさず納豆を食べている。
 晩酌で野菜と魚をたっぷり食べた後の〆は、毎日必ず納豆ごはんとお味噌汁。平日の朝は、前夜の残りのお味噌汁と納豆ごはんだけ。1パックの納豆にネギを加え、夫婦で分け合って食べる。これを、3年間ずっと続けている。
 飽きない。
 さらに、夫婦揃って体調も良い。


 こうしたことを書くと、今度は

「大豆イソフラボンの摂取過多!」
「大豆の食べ過ぎは健康に悪い!」
という説を持ち出す人が出てくるだろう。

 しかし、内閣府の食品安全委員会が定めるイソフラボンの一日当たり摂取量は70〜75mgである。
 厚生労働省のデータによれば、納豆100g当たりのイソフラボン含有量は65.6~81.3mgである。
 先にも書いた通り、一般的に販売されている納豆は1パック45g~50g入。
 となると、納豆一パックあたりのイソフラボン摂取量は、およそ半分の33〜40mgとなる。
 一日3食納豆、あるいは納豆の他に豆腐の味噌汁をどんぶりで何杯もとなればさすがに少々取り過ぎと言えるかもしれないが、納豆1パックを朝晩食べる程度であれば、食べ過ぎには全く当たらないのである。


 納豆でのイソフラボン過剰摂取を心配するよりも、むしろイソフラボン不足を心配した方が良い。
 それが、現状である。

まとめ~納豆は好きに食べよう&デマサイトから身を守ろう~


 ここまで、やや皮肉多めの解説となったがご容赦いただきたい。
 あまりに多くのデマ記事に、憤慨しているのが正直なところである。

 もしも、「納豆のNGな食べ方!」などという見出しの記事を目にして不安を抱いた方がいらっしゃれば、今回のnoteがその不安を払しょくする一助となれば幸いである。


 なお、

 これはあくまで私自身の方針なので参考にはならないかもしれないが、私はウェブニュース等を見る際に

 「食べないで!(〇〇しないで!)」
 「それNG!」

といった否定形の言葉から入る記事を書いているライターに対しては、懐疑的な見方をするよう心掛けている。
 そして、実際そうした否定形の見出しがつけられた記事は、見出しと内容が一致していなかったり、あるいは記載された事項の根拠が乏しく、デマといわざるを得ないものであることが大半である。
 こうした記事を掲載しているサイトやウェブライターに改善を求めることは、残念ながら現状では無理だろう。
 個人が抗議したところで、無駄である。

 しかし、そうしたサイトやライターの名前をしっかりと記憶あるいは記録しておき、次からは見ない・読まないようことにより、不快な記事を目にする回数を減らすことは出来る。
 多くの人がそうした自衛策を取るようになれば、デマサイトの閲覧数を減らすことにも繋がるだろう。
 今の段階で出来る自衛策のひとつとして、おすすめしておきたい。



 熱々ごはんに納豆、最高である。
 納豆オムレツでも納豆チャーハンでも納豆汁でも、どんどん作って美味しく食べよう。
 美味しさは、心を元気にする。
 それこそが、何よりの栄養だと思う。

 根拠の曖昧な記事、不安を煽るだけの記事に騙されることなく、好きな食べ方・好きな調理法で美味しく食べる人が増えて欲しい。
 美味しく食べることが好きな一般人として、私は心からそう思っている。



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