千秋

何をしようか

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Cell

2023年4月は渋谷で開催された『写真展「壁」』に参加した. 写真家であり文学研究者である別所先生が主催するオンラインサロンの写真展だ. タイトルは「Cell(細胞)」 写真展に掲げられたテーマは「壁」. 具体的であるような,抽象的であるような,壮大であるような,抽象的であるような. 私はこのテーマに「Cell」というタイトルで挑んだ. 私にとって写真とは感情表現の手段である. そしてその表現の延長線は自分のアイデンティティであり,常に何かもっと根源的なこと,真理に向か

    • Gene [gene /dʒíːn/]

      私には我が子の出産の記憶がない. 陣痛もなかったし,産声も聞けなかった. 全身麻酔下での帝王切開による出産だったからだ. 我が子と初めて対面したのは生まれて2日後 新生児室のガラス越しだった. 保育器の中で穏やかに眠る赤子を見ても やはり実感は湧かなかった. 母の意識のない間にこの世に生まれた我が子は 完全に独立した一つの生命であり 私とは全く違う個体なのだと感じた. 生まれた瞬間からもう孤独は始まっているのだ. そう感じて,少し寂しかった. それでも私の身体と子

      • 写真集「Scenes before dark」と「Scenes after dark」にまつわるはなし

        2022年10月に「Scenes before dark」「Scenes after dark」という2冊の写真集を自主制作で発売した. これらはもともと2021年に撮りためた作品の自分用ポートフォリオとして作成していたものを,「欲しい」という声をたびたびいただいたことから改めて販売用に印刷し直したものだ. これまでこの作品について詳しく話したことがなかったので文章にまとめておきたいと思う. この作品を撮ったきっかけはポートレート教室の課題だった. 自分にとって初めて

        • 私にとって写真とは

          自己表現というより感情表現 私にとって写真とは自己表現,特に感情表現の手段だ. 私は感情の起伏が激しい方だと思う. そのわりに感情を表に出すのが苦手で,抑えるほどに自己矛盾を感じる. よくある話で 幼少の頃にいい子でいようと気持ちを抑制しすぎたことで 小学校に上がる頃にはすでに暗く寂しいものを抱える人間が出来上がっていた. それ以来,口には出せない悲しみ,心に溜まったさまざまな矛盾,悪いもの,汚いもの,そういった感情を表現し認めてもらいたい気持ちがあるように思う. 小