次のフェーズへ | シンフォニアの挑戦 (3)
こんにちは、シンフォニア株式会社の瀬戸です。
シンフォニアは、XRと強化型デバイスを組み合わせた技術「Enhanced XR」により、社会活動や生活体験を進化させる事を目指しているスタートアップです。
3月25日(月)まで、弊社の株式投資型クラウドファンディングの募集を行います。以下の募集ページにてシンフォニアが目指していることについて紹介しておりますので是非ご覧ください。
足場を作った3年間
3期まで過ぎていく中で、創業時から継続している仕事は「AR仮想試着システム用の3DCGモデリング」だけが残り、あとはUnityを使ってのアプリ開発の仕事に集中していきました。
2期目の後半で、ボディスキャン3Dデータを利用したアプリ開発の仕事を受注し、これがその後も継続していくお仕事となりました。Unityによる開発業務に集中していくという方針の下、小さな案件でコツコツと知見を積んだのち、ようやくまとまった規模のお仕事を受注することができました。
今から考えるとかなりチャレンジングな内容でしたが、Unityでの開発の知識だけでなく、3DCG制作の経験を豊富に積んでいたことで、クライアントさんがご要望される表現を実現できました。当初は、大変名の知れた制作会社とのコンペでしたが、試作を見せてのプレゼンまでのスピードと提案の具体性で受注を勝ち取ることができました。
3Dスキャンでできた体の表面形状の3Dデータに対し、同時に計測した体組成データをもとに、骨格や皮下脂肪、筋肉をアプリ内で自動で生成する、という技術でした。これは、いまだに人に見せると「へーっ」と驚かれます。
この技術はその後クライアントさんが国際特許を取得され、私も発明者として名前が記録されました。
仕組みを考案した私としてはうれしい限りだったのですが、
「なるほど、アウトプットの品質にこだわるとこういったリアクションが得られるのか」
という気付きを得た貴重な経験でした。
新しい試みの開発というのは、アイデアがまず重要ではありますが、そのアイデアによって出てくるアウトプットつまり見栄えがどれだけ精緻であるかによって、人の反応は大きく変わります。
心強いパートナーとのコラボ
そしてこの時、もう一つの成果がありました。それは、鹿児島の開発会社・㈱クエイルさんとのコラボです。この案件については、開発規模が大きいため私一人ですべて手掛けるのは無理があると判断し、クエイルさんと共同で開発にあたりました。
この仕事は両社のコラボで継続していき、アプリだけではなくサーバー側のシステム、さらにはボディスキャンデータを生成するためのスキャンシステムの開発にまで発展しました。
クエイルさんとは、創業前から手掛けている前述の「AR仮想試着システム」に一緒に取り組んだ仲でした。その仕事をしながら、いずれクエイルさんとコラボしていける関係が築ければと密かに考えていたのですが、それがこの仕事で実現しました。
3DCG制作やデザイン系の仲間は数多くいたのですが、シンフォニアが開発主体の会社になっていくためには、サーバー側まで手掛けられるWebシステム開発のパートナーが必要だとずっと考えていたのです。クエイルさんとのパートナーシップは現在まで続き協力関係を築いてきています。
さらに、3期目(2016~)で初めてVRの仕事を受注しました。医療業界のドクター向けのGearVR用アプリでした。まだ規模の小さな案件ではありましたが、数か月単位で継続していきました。
ここに至り、売上は順調に伸び、継続的な仕事も複数あり、Unityでの業務、VRの仕事の発生、といった良い流れができていました。
私としては、狙った通りの展開となったことで、ひとまず「本当にやっていけるのだろうか」という局面から一段階上がったような実感を得ていました。
底流にあったもの
この流れを作ったのは何か?
理念や方針を定めたこと、制作の知識や経験、信頼し合える様々な分野の仲間、なども大きな要因ではありますが、実は「地道な営業活動」というものが最終的に結果に結びついたように思います。
リクルート時代にさんざん叩き込まれた「とにかく新規の営業アプローチを重視する」という姿勢。
それともう一つ、コンペでの勝率です。新しい小さな会社が仕事を得ようとすると、多くの場合、コンペとなります。それも、見積もりサイト等で仕事を得ようとする場合、良い案件には10数件のコンペ相手がいます。
私はこのコンペにおいて、「どうしても獲得したい」という案件をかなり高確率で獲得できました。もちろん、私の実績・スキル面で弱いものは確率が低かったですが、こと3D, XR, Unityといった知見を貯めた分野では7割近い確率で受注していたように思います。
前にも書きました通り私は商流の上流から下流まですべての立場を経験しました。某大手広告代理店の関連会社でプロデューサーをしていた時には、最終的な制作会社が出す見積もりから、代理店の営業マンが得意先に出す見積もりまで、すべてを把握していました。
案件の内容や説明文言からクライアント側の事情をイメージすることができましたし、コンペ相手のプロフィールを見て、どの会社がどのくらいの見積もりを出してくるかも推察できました。
また、営業経験者である一方で開発者でもありますので、最初の提案時からかなり具体的な開発手順の提案まで書くことができました。これは好印象だったと思います。
調布に事務所を開設、次の課題
4期目(2017~)に入る時、調布に事務所を借り、3DCG制作知識を持つ知人を一名採用することとしました。調布駅に近い45平米ほどの広さの事務所です。
ところが、満を持して迎えた4期で、シンフォニアは初めての赤字を経験します。人を雇い事務所を借りたことでもちろん経費は上がりましたが、赤字の原因は売り上げの低下でした。
ずっと継続的に来ていたお仕事の発注がたまたま同じ時期に減ったのです。VRやARの仕事は少しずつ増えてきていたもののまだ全体の売上の中では小さな割合しか占めておらず、主たる売り上げの減少をカバーしきれませんでした。
複数の売上の柱が立っていただけに、それらすべてが一度に停滞するこういった状況は想定外でした。慌てて新規営業に力を入れましたがそうそうすぐに結果が出るものでもありません。
そしてその時、痛感したのです。
「受託の仕事ばかりをやっていると、積極的に前に出る営業が難しい」
ということを。
制作・開発を手掛ける会社の場合、営業時の材料は過去の実績です。しかし、受託の実績はクライアントの許可が無ければ勝手に自社の作品として営業や宣伝に使うことができません。
たとえば、Webサイトに実績として表示できる具体的なもの、たとえば展示会で自社の作品として展示できるもの、が無いのです。
もちろん、直接クライアントからお仕事を請けているケースであれば、実績事例として使用することをお願いして許諾を得ることもできる可能性がありますが、その時受けていた仕事のほとんどはクライアントとの間に一社もしくは複数の会社が入っていたためそういった許諾を得るのが困難でした。
積極的に自社の技術をアピールする方法の必要性をここで痛感することとなりました。
堂々とアピールできる作品の必要性
結局、翌年より停滞していた継続案件が再び動き出し、さらには苦しい中での地道な営業が実った新規案件が加わったことで、5期(2018~)は大きく業績を伸ばすことができました。
新しく獲得したのは、「HoloLensを使った、大型設備の資格取得のAR学習用コンテンツ」という、画期的なお仕事でした。HoloLensを使ったお仕事はそれ以前に経験していたものの、それとは比較にならないくらいの規模のお仕事でした。
それが始まったのと同じ時期に、エンジニアの廣澤君が加入しました。本当に大丈夫だろうか、という不安を抱えつつの採用でした。
不安だった一つ目の理由は、赤字を出した直後であった事。そんな中で人件費を増やして良いのか、と少々ドキドキしました。
二つ目の理由は、彼が大変個性的であった事。最初に面接に来た時は、まるで道路工事作業から抜け出して来たかのような風体であった上に、話しかけてもポツリポツリとしか返さない極端に寡黙な性格、かなり戸惑いました。
ところが入社後、さっそく前述のHoloLensの仕事を一緒にやってもらったところ、サクサクとスピーディーに開発を進めていきます。実力があることがすぐに分かりました。想定外の彼の働きは、この5期の業績回復に大きく作用しました。
しかし私の中では、前の4期 (2017/5~)の急な業績の落ち込みと、その際の営業上の課題がずっと頭から離れませんでした。
シンフォニアの技術力やXRの可能性をアピールするための、「自社製のサンプル作品」をどうにかして用意しなければならない、と考えるようになりました。
シンフォニアは株式投資型クラウドファンディングに挑戦します
シンフォニア株式会社は、私たちが目指す世界の実現に向けて仲間を増やすことを目指して、株式投資型クラウドファンディングを開始する予定です。
10万円からシンフォニアの株主になることができますので、ぜひ一緒に事業を推進していただける仲間をお待ちしています。
▼プロジェクトページはこちら (クラウドファンディングは2024年3月25日(月)22:00までです)
▼シンフォニアの会社サイトはこちら
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