【解説】統計検定 2019年準1級 問5
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問題解説
【問題要約】
喫煙歴と心筋梗塞の関係を調べるため、心筋梗塞患者(86名)及びコントロール群(258名)を用いた後ろ向き調査を行った。この時の調査結果は以下の通りであり、ここから言える事柄を答えよ。
【回答】
解説参照
【解説】
本問では後ろ向き研究におけるリスク比及びオッズ比の扱いについて尋ねています。後ろ向き研究(現実と調査で患者の割合が異なる場合)ではリスク比が使えませんが、リスク比の近似値を取るオッズ比が使えます。
選択肢①
心筋梗塞患者における喫煙者のオッズ(65/21=3.10)は、コントロール群における喫煙者のオッズ(66/192=0.344)の約9倍である。そのため、喫煙者が心筋梗塞を起こす割合は、非喫煙者のおよそ9倍と推定できる。
正解
選択肢②
心筋梗塞患者における喫煙者のオッズ(65/21=3.10)は、コントロール群における喫煙者のオッズ(66/192=0.344)の約9倍である。コントロール群の数が対象郡の3倍になるため、9 / 3 = 3 となり、喫煙者が心筋梗塞を起こす割合は、非喫煙者のおよそ3倍と推定できる。
不正解
喫煙者のオッズは、喫煙者/非喫煙者(=65/21)で求めていますが、これは喫煙者の割合/非喫煙者の割合(=76%/24%)でも値は変わりません。そのため、対象群とコントロール群の人数差を考慮する必要はありません。
選択肢③
研究の結果、心筋梗塞患者の割合は喫煙者で49.6%(=65/66), 非喫煙者で9.86%(=21/213)であった。これは現実の心筋梗塞患者の割合と一致する。
不正解
喫煙歴による心筋梗塞患者の割合(リスク)を求めていますが、これは後ろ向き研究でリスク比が使えない好例になります。全体で心筋梗塞患者の割合は25%(=86/344)になりますが、現実において心筋梗塞患者の割合はそれほど高くないことが分かる思います。
選択肢④
研究の結果、心筋梗塞患者の割合は喫煙者で49.6%(=65/66), 非喫煙者で9.86%(=21/213)であった。この差は約40%であるため、喫煙者は非喫煙者と比べて心筋梗塞の罹患率が40%上昇する。
不正解
選択肢③と同様、後ろ向き研究ではリスクが使えません。
選択肢⑤
調査対象の1/4が心筋梗塞患者だが、これは現実の罹患率とかけ離れているため、この調査から読み取れるものはない。
不正解
オッズ比を計算することで近似的にリスク比を求めることが可能です。
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