【解説】統計検定 2019年準1級 問7
問題本文
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問題解説(1)
【問題要約】
平均μが未知、分散σ^2が既知の正規分布に従う標本が観測された。この時、平均μに対する事前分布と事後分布の正しい組み合わせを答えよ。
なお、詳細な条件は以下の通りとする。
【回答】
【解説】
本問は正規分布の共役事前分布(事後分布の平均, 分散)を丸暗記することでも解答可能ですが、暗記していなくても解答は可能です。
まず、与えられた選択肢は以下の通りです。
ここに、問題文で示された既知の値を代入した結果も併せて記載します。
ここから問題文に掲載されたグラフと照らし合わせてみましょう。
事後分布(実線)の平均値は0から1の間、分散は1未満(分散1の破線よりも小さい)であることが分かります。この条件を二つとも満たしているのは選択肢⑤のみになります。
よって、正しい選択肢は⑤になります。
問題解説(2)
【問題要約】
10個体分の重さのデータを入手した。この時、事前分布をN(13, 2.7^2)とした場合、事前分布と事後分布の正しいグラフの組み合わせを答えよ。
なお、当日入手した10個体分のデータは以下の通りである。
当日のデータ
X = {14.05, 19.25, 23.00, 16.00, 13.90, 14.70, 20.35, 15.05, 15.30, 15.50}
平均: 16.71, 標準偏差: 3.07
【回答】
グラフ②
【解説】
共役事前分布は事前分布が正規分布である時、事後分布も必ず正規分布になります。(事前分布が正規分布の時、事後分布も正規分布であると仮定することで計算コストを大幅に削減したものが共役事前分布になります。)
そのため、事後分布(実線)が正規分布ではないグラフ③と④は選択肢から除外されます。
また、当日のデータが事前分布と乖離していたり、大幅にばらついていない限りはサンプルサイズが増加するため、分散の値は『事前分布 > 事後分布』となります。
そのため、パッと見てもグラフ②が正解であることが分かります。
より丁寧に解きたい場合は、事前分布を含めた11個のデータの平均値と標準誤差を求めることで、正解の値が分かります。
11個のデータの統計量
平均値: 16.37
標準偏差: 2.97
標準誤差: 0.90
よって、正しいグラフは②になります。
問題解説(3)
【問題要約】
共役事前分布に対する説明で選択肢の中から正しいものを全て答えよ。
【回答】
解説参照
【解説】
選択肢①
共役事前分布の利点の一つは、事後分布の計算がハイパーパラメータの更新として表現できる。
正解
ハイパーパラメータとは、正規分布におけるμやσ^2のことです。
共役事前分布の主な役割は、事前分布と事後分布の分布を事前に定めることで、複雑な計算過程を省略するものです。そのため、事前分布と事後分布が同じ場合は、ハイパーパラメータの更新として表現可能です。
選択肢②
正規分布の分散が未知の時、共役事前分布はベータ分布を用いる。
不正解
逆ガンマ分布を用います。
AVILENさんの共役事前分布の記事に対応分布一覧が掲載されているため、他の分布を知りたい方はこちらを参照してください。
選択肢③
共役事前分布を用いれない場合は、モンテカルロ法等の数値計算を用いて近似計算を行う。
正解
共役事前分布を持つ関数は限られているため、共役事前分布を持たない場合は近似計算で事後分布を求めることになります。
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