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【解説】統計検定 2019年準1級 問9
問題本文
問題本文は公式サイト又は公式問題集を参照してください。
問題解説(1)
【問題要約】
米ドル円の為替レートが以下の数式に従うとする。x0, σ(>0)は定数であり、Bt(0≦t≦100)は標準ブラウン運動に従う時、σの推定値を答えよ。
なお、計算に必要なxtの増分の2乗の平均は以下の通りであった。
【回答】
σ = 0.035
【解説】
本問を解くためには、標準ブラウン運動と定数σの役割を理解する必要があります。
標準ブラウン運動とは、連続性を持つランダムな動きを表しています。
酔っ払いのオヤジが右にふらふら、左にふらふらと千鳥足で移動した時、100歩目までに辿る道筋がブラウン運動だと思ってください。
この時、標準ブラウン運動は以下の性質を持ちます。
標準ブラウン運動の性質
B0 = 0(初期状態は0)
B1 = N(0, 1)
Bt = N(0, t)(進むにつれて分散が増加する)
Bb - Ba = N(0, b-a)
また、4つ目の性質(Bb - Ba)からも分かる通り、標準ブラウン運動では0歩目から1歩目, 1歩目から2歩目, 2歩目から3歩目...と、1歩ずつのふらつき具合は常に同じ確率分布N(0, 1)に従います。
以上の性質から推定値σが1と仮定した時、xtの増分の二乗の平均は以下の通りとなります。
言い換えると、σはxtの増分(xi - xi-1)と一致するため、σの推定値はモーメント法により、以下の通り求めることが可能です。
よって、推定値σの値は0.035となります。
問題解説(2)
【問題要約】
(1)よりも高精度なデータを以下の通り用意した。
(1)と同じ確立過程モデルを仮定した時、σの推定値を答えよ。
【回答】
σ = 0.077
【解説】
本問では(1)と同じ確立過程モデルを仮定しています。
そのため、σの値が1であると仮定した時、xtの増分の二乗の平均は標準ブラウン運動の性質から以下の通りとなります。(i = [10, 20, 30, ..., 1000])
(10歩移動しているため、N(0, 10)に従う)
ここから、(1)と同様、σの推定値をモーメント法により、以下の通り求めることが可能です。
よって、σの推定値は0.077となります。
問題解説(3)
【問題要約】
米ドル円とユーロ円の為替レートが以下の数式に従うとする。
この時、相関係数ρの推定値を答えよ。
この時、Bt(1), Bt(2), Bt(3)はそれぞれ独立な標準ブラウン運動を表す。
また、xt, ytの増分の2乗の平均及び積和の平均は以下の通りであった。
【回答】
ρ = 0.377
【解説】
本問は(1), (2)の延長として問われていますが、本質は相関係数を求める問題になっています。
相関係数の求め方は統計検定2級でも学ぶため、ここでは詳細を割愛しますが、相関係数は以下の通り求めることができました。
相関係数のおさらい
ρ = 1: XYの共分散 = Xの標準偏差 * Yの標準偏差
ρ = 0: XYの共分散 = 0
ρ: XYの共分散 / (Xの標準偏差 * Yの標準偏差)
以上の性質から、相関係数は以下の通り求められます。
よって、相関係数ρは0.377となります。