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自動販売機の前。一本の缶コーヒーを巡る会話

「なあ、ブラックとカフェオレ、どっちがいいと思う?」
「聞く相手、間違ってないか?」
「どういうこと?」
「俺、コーヒー飲めないんだけど」
「えっ、そんな奴いるの?」
「いるんだよ、ここに。ていうか、飲めないやつに相談するの間違ってるだろ」
「いやいや、逆に飲めないからこそ第三者視点で公平なアドバイスができるかもしれない」
「どっちも同じだろ」
「それは公平すぎる意見だな……じゃあ、ブラックにするわ」
「おい、俺に聞いた意味」
「だってブラックってカッコよくない?」
「その理由で決めるなら最初から聞くなよ」
「いや、確認したかっただけ。ほら、カフェオレ派って隠れた勢力があるかもしれないじゃん」
「知らんがな。というか、ブラックにした理由が『カッコいい』って、何なんだよ」
「人生の選択なんてそんなもんだろ?」
「そんな適当でいいのかよ……」
「少なくとも君と話す分には適当でいいかなって」
「おい、それ褒めてるのか?」
「うん、褒めてる」

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