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1万円リースは絶対やったらダメなやつ

近頃よく聞きませんか。主に軽自動車に "月々1万円~乗れる" っていうチラシやCM。商品名はいろいろあります。内容はどれも似たようなものですので、ここでは総称して「1万円リース」と呼びたいと思います。今日はホントの1万円リースの姿を解説します。

1万円リースは月額しかアピールしない

私は1万円リースの見積もりを取ったことがあります。車の見積もりは車両本体価格・諸費用・オプションなどの合計が掲載されているのが普通と思い込んでいました。その支払いプランとして25,000円×60回といった表示されている。こんなものを想像していたのですが、1万円リースは月額25,000円といった金額が大きく書いてあって、それ以外のことはあまり詳しく書かれていないのです。考えてみれは当然です。購入の見積もりではなく、リースの見積もりをお願いしているわけですから。月額いくらという見積もりは正しいものだと思います。

月々いくらで安く感じてしまう

車の見積もりを出してもらって、総額200万円と月々25,000円なら、月々25,000円の方がハードルは下がります。身近なもので考えればわかりやすい。私もかつてはiPhoneを2年に1回買い替えていました。月1万円払っていたものです。3台6年間で考えると、私は携帯会社に72万円払ったんですね。そんな自覚ないですけど。これ逆に、携帯ショップに行ってiPhoneが2年ごとに最新機種に変わるプランの定価が「72万円」。支払方法に月々1万円と書いてあったら、気軽に契約するかっていう話です。携帯のうまーい商売を車に持ちこんだのが、1万円リースなんですね。

落とし穴① リースに金利の表示義務がない

ここからがいよいよ本題ですが、リースに金利の表示義務はありません。金利が書いてあるところなんてないと思います。しかし、リース料に金利が含まれていないかというと、そんなことはありえません。リース車両はリース会社が車両代やオプション代金を立て替えて販売店に支払います。販売店はそこから仕入れ先ディーラーなどに車両代を支払って、残った部分を利益としているわけです。リース料で成り立っているわけではありません。

リース会社は立て替えたお金をリース料から回収します。当然分割手数料がかかるのが自然です。でなければ、リース会社はどこから利益を出すのでしょう。普通ローンを組むとき一番最初に気にするのが金利のはず。ディーラーの金利が高いから、銀行などで借入するケースも多い。しかし、リースの金利は不明です。たぶん、私の計算では5~7%くらいが多いとみています。非常に高い金利を払っている可能性が潜んでいます。

落とし穴② リース料には消費税がかかる

ローンは自分が借りたお金を金融機関などから販売会社に支払ってもらいます。そして、それに手数料を載せたものを毎月返済するものです。借りたお金を返すのに消費税はかかりません。しかし、リースは利用料なので消費税がかかります。これが第二の落とし穴です。

今や消費税は10%もするわけです。165万円の車の15万円は消費税なのです。車にはナビ、冬タイヤ、諸費用など消費税がかかるものが多数あります。それを全部誰かが立て替えるわけですから、そこから算出されたリース料に10%の消費税がかかるのは消費税の二重払いに近い。1万円リースは消費税20%のお買い物と思うべきです。

落とし穴③ スルーされる値引きの話

普通、車を買うときって値引きの話が出るものです。それは200万円の買い物をする前提だからです。値引きを引き出して納得した金額に対して、ローンを組みます。しかし、リースは値引きの話が出て来ません。月々いくらという話が中心だからです。結果として、販売店は値引きゼロで車を売れます。最近値引きの話ばっかりで「儲けが残らない・・・」という販売店の人たちの行きついた先が1万円リースと分析します。

落とし穴④ 長くて残価残る

金利も高いし、消費税もかかります。それに値引きもしてもらってないのに、どうして月々は安いのか。とてもシンプルな話で、契約期間が長い。多くは7年となっているケースが多く、7年も払ったのにまだ残価が残っています。そりゃ月々は安くなるわけです。そして、よく見ると月々1万円で乗れるのは廉価グレードで、ボーナスに4~5万円くらいが設定されています。いろいろなオプションや上級グレードで計算すると、2万円~3万円くらいになってしまいます。ローンだって長ければ月々は安くなる。別に特別な話ではないのです。

落とし穴⑤ 解約にかかるお金

これは、リース会社によって異なりますが、7年リースの契約を組めば、基本的に7年間乗るのが契約です。途中で違う車に乗りたくて、契約を解除したりすると違約金が生じることがあります。クレジットならいくらか自己負担が生じる場合はありますが、その車の売却額で残債の大半を一括返済できます。そして、それはそもそも返さねばならないお金なので、そこに異論を唱える人もいないはずです。

まとめ 計算できる人は絶対やらない

こうして見てみると、1万円リースは個人にとってメリットはない商品と言っていいと思います。もちろん、一部個人事業主や会社にとってはローンでなく、あえてリースという選択を取ることもありますが、普通のサラリーマンの場合、リースで得られるメリットってそんなにないものです。

最初の話に戻ります。私が見積もりを取った軽自動車は160万円くらいの車でした。ディーラーで見積もりをしたところ値引きもしてもらって総額180万円くらい。これを1万円リースでやると、月々25,000円を84回ですから、税込み計算で27,500円を84回です。7年間で2,310,000円を払います。そこに20%の残価がまだ残っている、そこまで払うと270万円になることがわかりました。この期間にやってくる軽自動車税、車検、オイル交換などの日々のメンテナンスは負担しなくてもいいことになっていますが、当然月々のリース料に含まれています。無料ではありません。

銀行ローンを活用したらどうでしょうか。近年オートローンの金利は安いので、180万円を銀行で借りたら7年ではなく5年で行けそうです。月々3万円程度となりました。総返済額は190万円。5年間支払えば完済しますから、あとは自分のものです。下取りに出せば軽なら4~50万円にはなるでしょうから、5年後に同等の新車に買い替えたら、下取りがあるので次のローンは高く見ても140万円で済みます。次は月々3万円なら4年で払えちゃいます。

1万円リースをやった場合、5年ローンと似たような支払いをプラス2年間もした挙句、残価を払ってそれを下取りにするのもバカらしいので、そのまま車をお返しする流れになると思います。そうなると231万円払った上に、次の車の頭金はありません。また、同じような金額で乗らねばならないのです。

誰にメリットがあるのか、将来性は?

1万円リースはディーラーに対抗すべく出て来た商品です。違った切り口でないと勝負できないからです。これを考えた人はなかなかのものだと思います。何より値引きゼロで車を販売できる。金利のバックもある。毎月定期的にメンテナンス料も入る。お客さんを7年間囲い込める。点検・車検が長期的に確保できる。戻って来た車は中古車として販売して2度おいしい。そりゃ経営者は飛び付くはずです。

しかし、発展するビジネスって、本当はユーザーにとってメリットがあるものなのではないでしょうか。私はこういうやり方は長続きしないと思います。おそらく今がブームの絶頂で、7年後にリピートしてくれる人はほとんどいないと思うのです。そして、販売店も7年経過した車に高額な残価が残っていることに悩むケースが出て来るはずです。良心的な業者もたくさんありますから、お客さんに請求することはためらわれて、結果的に負債を抱えてしまうといったこともあるのではないでしょうか。

整備工場やモータース屋さんは整備のプロであっても、販売のプロではないケースが多いです。こういう商品を扱っているから良くないというわけでは決してありません。そうしたところを狙って、こうしたフランチャイズを売り込んでくる業者はよろしくないと思いますが。普通の買い方をすることがお互いのために良いことだと結論させていただきます。

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