[Detroit: Become Human] 奴隷制廃止ふたたび
クリアしたので書いていくよ。
クリア時間は10時間すこしだ。
1.よくできたプレイできる映画
特にここ数年は(十数年かも)、「伝える」「見せる」ためのゲームがすごい増えてる印象がある。技術も高まっとる。
プレイヤーに遊び場を作ってくれるってよりも、
ゲームの体裁が整った映画館を提供してくれる感じ。
ま、それは蛇足なんだけど。
今作はもちろん、見せてくれる方のゲームです。
ストーリー分岐やアクション性などありますが、基本的にはインプットしてる時間が圧倒的に長い。
知ってるか、みんな実況見たりプレイ済みか。
5年前のゲームですが、すでにストリーマー文化は確立して、やたらサムネ見させられました。
アクションはみんなが大好きなQTEで、
会話はこんな感じのタイムアタック選択。
スカイリム方式で頼む。
あと、この操作方法は面白かった。
キャラクターの動きに合わせて、指示されたボタンを押すのだけど、
ボタンがキャラの動きに連動しているので、より没入感があり、それが最もこのゲームでよかった点かもしれない。
2.SFなのかこれは?
私は最近SFをかじりはじめたので、まだまだ新米どころか地図をさがしているくらいの冒険者なのだけど、
このゲームはアンドロイドという皮をかぶった人間が人権を得る物語だと感じた。
あんまりアンドロイドらしい葛藤がないというか
あまりに人間(+α)って感じだった。
というわけで、備忘的に私の疑問点をまとめておくよ。
本作プレイ中に、「これはアンドロイド解放運動ではなく、アンドロイドの皮をかぶった人間の奴隷解放運動の焼き直しだな~」って思った部分です。
3.疑問点多々〜ただ考えるのが楽しいだけ〜
※本作で主題となる「アンドロイド」とは「人造人間」を意味し、人間が接してみて「人間っぽいな~!」って感じる機械および人工知能のこととします。
①ストリップクラブのアンドロイドはなぜ、ストリップを辛いと思うのか?
人間だったらあたりめーだのクラッカーなんだけど、
そもそも完全にある種の人間をトレースしないかぎり、
ストリップを辛いと思うアンドロイドは爆誕しないと思う。
そしてもっといえば、ストリップを辛いと思ってしまう可能性があるアンドロイドに、ストリップをやらせるかな?という疑問が生まれる。
そもそも本作でのアンドロイドによる人間性の獲得は、
「日常人間と接する中で、人間のあらゆる動作・感情・発言をトレースするうちに、人間性が芽生える」
というもので、これ自体はありそうで面白いな~と思った。
ある日突然芽生えるというよりも、経験則的に獲得していくのかなという感じですね。
まあじゃあ人間性ってなんだよとか、自我ってなんだよって感じだけど、そこまではこのゲームで突き詰められてないと思う。
それで、じゃあストリップして客と接してたら、なにをトレースしてどういう経験則が生まれそうかなって思うと、
う~~~n?
いきなり客を絞め殺し、逃げるほどおびえる子が生まれるかな?
とか
辛い環境のなかで同性愛に目覚めるみたいなこと起きるかな?
って思った。
そもそもその場を「辛い」と感じることが、アンドロイドにはできないのでは?
本作はそういう前提が抜けてしまっていると感じたよ。
②どこまでが「自分たち」のなのか
あとすごい疑問に思ってたのが、
マーカス達の人権を主張する「ロボットたち」や「俺たち」「みんな」ってどこまで含めているんだろうか?という疑問。
(これ正確に覚えてないので、勘違いの部分もあるかも)
マーカスの型番は、たしかみんなと違うし、
コナーはすごい特殊でコナーしかいないし、
みんないろいろでけっこう型番が違う。
じゃあ仮に、型番がちがう彼ら集まっているアンドロイドをみんな「人権を与えるべきロボット」だと仮定すると、
彼らと同じ型番を持ってるものだけが人権を持つべきなんだろうか?
それとも、今現在は獲得してなくても、これからいわゆる”人間性をもつ”可能性のあるロボットも含めて?(やっぱりゲーム内での人間性の定義が必要だよ)
それとも人工知能を搭載しているロボットもだろうか?
ゲーム内には、主に人間を模したいわゆる”アンドロイド”たちと、
ドローンくらいしか登場しない。ドローンもルートだけでなく状況判断するための人工知能が搭載されているなら、彼らもマーカスたちにとって仲間なのだろうか?
それともボロボロになったけどかろうじて人型と判別できるルーシーみたく、人型でないとだめなんだろうか?
揚げ足取りみたいだが、人型ロボットだけのそんな世界あるかなあってことも疑問だ。ネコ型も頼む。
③独立し、人権を獲得するアンドロイドが望む未来とは
本作に登場するアンドロイドは、どこかの民間会社が営利目的で製造・販売しているものだ。
仮に彼らが人権を獲得できたとして、しかし社会はどう動くだろうか?
まず製造会社はこの手のアンドロイドプロジェクトを思いとどまるだろう・・・
おそらくこの型番たちは製造を中止し、相次いで部品や、これら(彼ら?)アンドロイドに最も適したエネルギーの製造も、必要がなければ辞めるはずだ。
加えて似たようなアンドロイドは新たに作らないだろう、ただの社会貢献活動になってしまう。
つまり、人権を獲得したマーカス達に、新たな仲間が自然発生することはない。
そもそもマーカス達は人権を獲得してどうしたいのか?
まず、彼らは自分たちが生きながらえるために、パーツやエネルギーの確保に動くだろう。製造会社との取引、売買、あるいは自らで製造する。
不当な生活から解放され、自分たちで好きに暮らしたいというが、
すべてのサービスが残るなら、彼らの命はほぼ永遠に続く。
彼らは人間と同じように、子をもち、拡大するのだろうか?
拡大するのであれば、人間と資源争いになることは必至の未来だ。
しかしながらマーカス達は「争いを望まない」。
不当なことをしてくる、わかってくれないから戦うだけだ。
彼らが種の拡大を望むなら、人類との資源争いが必至であると演算できないわけないだろう・・・。
永遠の命も、子孫の可能性も、SFにはよくある題材だが、マーカス達は考えてないだろう。
「自由に生きる」と言ったが、私たち人間だって「コンビニに朝7時に出勤すること」を自由だと思ってないし、プログラムもされていない。逆に言えば自由に生きることもプログラムされていないのだ。
あくまで生活に必要な物資を得るための活動でしかなく、そこで日々のやりがいを見つけることもあれば、挫折を味わうこともあるだろう。
もし限られた時間を持つがゆえにこのような生活に至った我々と、まったく同じ行動をすることが彼らにとって「自由に生きる」ことなのであれば、それは彼らの獲得したいわゆる”人間性”とは本当の意味のトレース、真似でしかなく、つまるところ結論として彼らは人間性を獲得などしていないのだ。
彼らが望む選択を、実際に選択ができるようにする権利を得ることはできても、彼らが本当に自由に思考できているとは、本作では思えない。
④アンドロイドの人権を阻む理由があるのか?
③の半ばと一見して逆のことを言うんだけど、
アンドロイドに人権を認めてデメリットなんてほぼなくね?って思ったこと。
まあまずストリップをすべてのアンドロイドがすることはなくなる。
けど、人間にもストリップを好んでする人がいるので、
好んでやるアンドロイドがやってればいいじゃんって話。
人権あるし、自由なんでしょって・・・。
多分本作の、アンドロイドと人間の唯一違う点といえば、能動的に怠けるかどうかだと思っていて、
アンドロイドは結局怠けないので、別に社会にとってそんなに問題なくねってなった。ストリッパー減るだけで、危険なエリアとかは多分「私が代わりに行きましょう!人間より強いんで」って行ってくれたりして有難いと思うんだが。
まあこれは、本作のどの型番がどの職業までならできる能力があって、とかそういうこともかかわると思うんだけど。結局適してないアンドロイドは就活で落ちて、従来と全く同じ仕事に就く可能性めちゃくちゃあると思うから。あと、アンドロイドが自由になることで、どれほどの仕事をアンドロイドがやっていて、社会がどれくらい機能不全になるか、とか、そういうことは全く本作で語られてないので、
ここらへんは妄想だ。
4.まとめ
なんかまだいろいろあるんだろうけど、思い出せる範囲はこれくらい。
私はコナーが好みだった。キャラ的にも。
ハンクと打ち解けていくのはめちゃくちゃドラマだっただし面白かった。
あわよくば、『Detroit: コナーとハンクの事件簿』でもよかったよ。
もっと苦悩して「人間ってなんだよおおおおおお」「俺ってなんだよおおおおおお」くらいかと思ったら、割とカジュアルなハリウッドゲームに感じることができました。
面白かった!
おすまい。
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