ネコの吸い込み
家の近所にネコがいる。特定の時間、特定の位置に訪れるとエンカウント可能なネコがいる。
通勤で駅に向かうために通る路地に、いるんですよね。2匹。くろい子と茶色い子。
路地を通るとだいたい、道の真ん中で丸くなってるか座っている。2匹いるんだけど、遊んでるとかあんましなくって、なんなら背中向けてたりするんですけど、まあ、なんかいっつもふたりで居る。
なんか、同僚? 同僚の距離感。同じ業務の担当だからいっしょにいるけど、ダベったり、プライベートで遊んだりする感じじゃない。「きょう雨ふるみたいっすねー」「まじかー」「……」「……」「昨日ぼく抜けてたときけっこう仕事立て込んでたみたいですけど大丈夫でした?」「おー、まあなんとかなったよ」「……」「……」というような。
まあそれはいいんですけど、こう、近くを通っても彼ら(彼女ら?)はとくに微動だにしない。ドライ。ちょっと顔をコッチにむけるか、なんなら、耳がぴくってなるだけ。
んでも、ぼくが足止めて撫でようとすると、のそりと立ち上がり、こっち来てくれる。なでなでの栄誉に賜らせてくれる。あるいは、こっち来て、足元に体をすりぃってやってくる。あの、ソフトに体を擦り付けてくるっていうか、なんだ、毛が触れるか触れないくらいかの感じで近くを通過してくれるというか。 カワイイ。警戒心がなくって人懐っこいんですね。
でも、いつもそこ通ったらいるかっていうとそうでもない。ぼくと奥さんの統計によると、朝と夜の通勤・帰宅時間帯に居がち。
あれか、なんかそういう仕事なのかな。
そういう仕事であるフシがある。
あの、多いパターンとして、まず、黒と茶色のふたりシフトであり、路地に出ているのはどちらかひとりである。
で、誰か通りかかり、かつ、その人物が自分に関心がある人であると見るや、「にゃあ」とひと鳴き。物陰に待機していたであろうもうひとりも出てきて、ふたりがかりで「すりぃ」や「撫でさせ待機」をおこなってくる。なんか、チームワークが出来上がっている。
で、なんか、彼ら(彼女ら)の居る場所ってのがなんか、建築事務所みたいなとこの前なんですよね。
たぶんあれです。ネコたちはこの建築事務所の一員で、出勤してくる社員を出迎える役割を担ってるんだけど、あの、通行人全員、そこの社員と思って対応してるんじゃないか。だれか通るたびに「おや、仕事かな」ってなって、耳をぴくりとやり、通行人が足を止めたり関心を示すと「よっしゃ、仕事だな。おはざーす! さあどうぞ!!」とばかりに「すりぃ」or「撫でさせ」の二択でご挨拶。
ぼくも奥さんも、建築事務所の社員じゃないが、この「すりぃ」とかによって元気もらっている。
なんか、このネコが体をすりつけてくるやつが、「ほら! ネコの摩擦ですよ! ほら! この摩擦エネルギーで今日一日余裕でがんばっちゃってくださいよ!」って言ってるみたいで、なんか、元気でる。
えー、で、あと、このネコ×2エンカウントポイントを見つけてからというもの、ちょっと用がなくても通りかかるようになった。通勤で駅むかうときに通るって言いましたけど、別にその時点でベストなルートじゃないですからね。やや遠回りだ。
従来の駅と家を結ぶ最短ルートを通っていた場合、通り道に100円ローソンがあるのでいつも寄ってた。100円ローソン、めっちゃ便利じゃないですか。生鮮食品とお菓子とお酒とイナバのカレー缶が一カ所で揃う。ちょっと足のばしてスーパー寄らなくて良い。IZUMIYAあるけど帰宅時間帯は混むしな-。
まあ、そういう習慣であった。
だが、それが崩れたわけですね。ネコで。
あの、ネコがいる路地とおるルートだと100円ローソン通らないわけです。あの、でも、仕方なくないですか? 100円ローソンにネコいないですからね。事務所前で挨拶当番してるくらいだから、レジ打ちしてるネコがいてもおかしくないですが、実際には人間のおじさんがレジ打ちしている。人間のおじさん全然良いんですが。いつもありがとうございます。
ともかく、こう、なんか、ネコに吸い込まれる。ルートが吸い込まれる。通勤・帰宅のときだけじゃなくって、全然関係ないときも、つい、ネコいるとこ通っちゃう。
で、こないだも、その路地通る用事ないけどなんとなく通ったら居て、「あぁネコ居るなあ、撫でさせてもらおうかな」と思ったら、向いから自転車で来たおじさんが先にネコにたどり着いてネコと遊び始めてしまったので、いや別にネコとか興味ないし、みたいな顔でぼくは通りすぎた。
通り過ぎてから、少し歩いて振り返った。自転車のおじさんとネコが楽しそうに遊んでいた。
――ズキン……
なんだろうこの感じ。
なんだろうこの感じじゃないわ。えー、まあ、そんな感じで近所にネコがいる日々をたのしんでいます。=^_^=
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