おれはラドンの話をする
もっとも正直な——そのときの感情や去来したエモーション、激しく響いたソウルのバイブス、生まれた信仰とかを——もっとも正直に表す感想は、
はわぁ……
だ。そうとしか言えぬ。そのとき、そうとしか言えずに劇場の椅子に縫いとめられた我が身があった。
えー、まあ、観てきました。
『GODZILLA -King of the Monsters-』をだ。
ほんとは、圧倒的な圧倒的さに語彙が灰燼に帰したため感想もくそもないんですが、それだと人に伝えられないので、灰燼を回収して感想を書くぞおれは。
あっ、でも、そもそも、ぼくのゴジラ経験って言ったら、VSシリーズをモチーフにした対戦格闘ゲーム『ゴジラ怪獣大決戦』(スーパーファミコンソフト)と1998年公開のハリウッド版『GODZILLA』(怪獣というより巨大なイグアナみたいなやつだ)だけという偏った経験値ながら、今回の『GODZILLA -King of the Monsters-』はむちゃくちゃ楽しめたので、未鑑賞な
ら、まずは観に行ってしまえば良いと思う。
この先、作品のネタバレ含むので、まだ観てない方はご注意を。
ぼくは今から感想文を書くが、すでに的確で洒脱で熱い表現にて語られた素晴らしいレビューの数々がある。
なので、ぼくは主にラドンのことを書きます。ラドンがめちゃめちゃカッコよかったし、恐ろしかった。
ラドンだ。
神話に於ける「火の悪魔」、火山の噴火と共に復活せし灼熱の翼竜。
僭王ギドラに呼応して、市街地のほど近くの活火山にて復活する。
あの、まず、登場シーンがずるい。
噴火とかさぁ、絶対やばいじゃないですか。で、土地によっては、身近にありえるじゃないですか。で、マグマが熱いってみんな知ってるじゃないですか。生命はマグマで死ぬじゃないですか。
だが!
むしろそこから生まれ、マグマを纏い飛翔するラドン!
んで、超巨大質量たる怪獣が翼で飛翔するものだから、空気圧に対する影響が半端ない。ラドンが市街地の上を滑空するだけで周辺気圧が急低下し、質量にまかせて力づくで発生した低気圧に空気が流れ込むことで局所的なハリケーンが発生する。
要は、ラドンが通過したあと地上にあるもの全部ひっくりかえるか吹っ飛ぶ。
「やめたげてよぉ」とか「おまえは、飛ぶな!」とか思ってしまう。頼むからおとなしくしといて、ってなる。怪獣ぜんぶ人間目線でいうと、そうなのだけど。ってか、目覚めさせたの人間だわ。
とはいえ、被害を最小限に抑えようと、人里から引き剥がそうと戦闘機の攻撃で気を引くモナーク。まんまと、思惑どおり、気を引くことが出来たけど、そっから殺す気まんまんのラドンとの激しい空中戦が始まる!
空中戦ってか、ほとんど蹂躙でしかない、絶望的な撤退戦だが……。
でもこのシーンが、ぼくは最もぞくぞくした。怪獣のやばさがすごいクる。コワイ!
追いかけるラドン、逃げる母艦、随伴する戦闘機。ラドンのローリング機動により、蚊トンボのようにたたき落とされる戦闘機! 命が次々散る! 追いつかれたら必ずしぬ!
コワイ!!
なおかつ、逃げて向かう先が、この瞬間世界で一番近づいちゃ駄目な場所である。閃く雷電と渦巻く雷雲のその中心。もうエンジン暖まりきっちゃってるギドラが三つの首をもたげて睨みをきかせている。モナークの面々の思惑は、おびき寄せたラドンをギドラにぶつけようというものだけど、モナークの中でも主にスクリーンに映る人達以外は「馬鹿なの!?」と思ってるに違いない。それくらい絶望的な作戦。それしかないし、合理的には思えるが……。
状況的に、その場にいる人間全員、発狂して失禁しながら大爆笑しだしてもおかしくないような気がするけど、芹沢博士もクレイジーなパパもチェン博士も、キリッとした表情だ。
結局、多くの犠牲はあったが母艦は生き残り、作戦は成功する。
まだ映画は続くけど、もうこのへんで生き残った人たちは「いやぁ、あんときゃあ死ぬかと思いましたよね」とか言いながら居酒屋で打ち上げしても良いと思う。
でも、映画は続く。このあとも、まだまだ人間たちは、絶対近づいちゃだめなとこに顔を突っ込んでいくのだった。
えー、まあ、そんなわけで、モナークvsラドン、大好きなシーンなわけで、ラドンの超音速でころしに来る感じは、怪獣のどうしようもない恐ろしさを観客に完全にわからせたと言えるため、ぼくはラドンを讃えたいのであった。
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