あいまいな過去 9 引きこもりの日々を綴って
僕の家はちょっとした溜まり場になっていた。
何人もの友達がよく遊びに来ていた
これは、学校に行かなくなっても変わらず
そうして遊びに来てくれる事は嬉しかった。
この状態を維持したい
友達と、遊び、話し、笑い合う
楽しい時間は僕を現実逃避させてくれた。
この時間が無くなるのは嫌だ
次第に僕は、友達といる時間に依存していった
生きる意味、と言っても大袈裟じゃないほどに。
遊んでいる時、話している時、笑っている時
楽しい時間は、無くす恐怖をつねに伴なっていた。
そんな日々も
彼らの学年が上がり、中学に進み、高校へと進学し
僕が引っ越したりもして、彼らは次第に遊びに来なくなる。
そんな中で一人だけ、変わらずに遊びに来てくれる友達がいた。
彼とはただ一緒にゲームをして画面を見ながら笑いあっていた。
彼だけが、家族以外で話す唯一の存在になっていた。
ただ、彼に本音を話すことは無かった
彼は色々話してくれた
学校に行かなくなった当初から一緒にいてくれた。
学校に誘いに家へ来た同級生に対して
僕の側に立ってくれたりもした。
一人になるのは怖かった
彼の存在は大きすぎた
彼との仲が壊れるのを恐れていた
唯一の存在は、本音を話すリスクを犯すには尊すぎた。
だけど、やがて彼も来なくなった
最初は、愛想つかされたか、と寂しかった。
だけど、誰も訪ねて来ない状況は楽でもあった
意外と一人でも大丈夫で、今までの恐怖が嘘のようだった。
なって初めて一人でも大丈夫だと思える様になった僕は
やがて、本音を隠す必要が無くなっていった。
彼には感謝しています。
ありがとう
こうして伝えられるのは君がいてくれたからだ。
熊本市で、ひきこもり自助グループ「かこかり」の運営をしています。 居場所作り活動中。