【ラジオドラマ#1】『初詣』
SE 話し声+鈴の音+拍手+賽銭
山下(B)「珍しいな。初詣みたいな行事に誘ってくれるなんて」
高坂(A)「この正月休みは実家帰らない、って言ってたから、誘おうかな…って」
B「顔は見せたほうがいいとは思うんだけどさ、なんかねクドクド言われるのもあれだしと思って。高坂は帰んないの?」
A「明日とかに顔出そうとは思ってるんだけど」
B「高坂ぐらい実績あったら、別に何も言われることないでしょ」
A「まあ、そうかも知れないけど…でさ、去年も初詣ここ来たんだよね」
B「そうなの?」
A「あ、昨年か」
B「いいよ、ビジネスじゃないんだから」
A「『大きい案件をコンペで取ってくる』ってお願いしたらさ、見事取れたわけでさ。晴れて去…昨年は営業成績2位…4ランクアップ」
B「人事の方でも結構噂になってたよ」
A「え、どんな?」
B「…言わないよ。部外秘だから」
A「新年だから奮発してよー」
B「無いってそんなシステム。そういえば、初詣みたいなイベント事行くタイプだったっけ?」
A「いや正直、俺も初詣行く人バカにしてた。初詣行くために初詣行ってるっていうか」
B「いやッ言いたいことは分かるよ」
A「何ていうか、初詣というイベントを楽しむために初詣行ってるみたいなイメージがあって」
B「そうそれ」
A「(小声)それにさ」
B「(小声)…なに?」
A「(小声)俺基本無神論者だしさ」
B「皆そうだよ。生まれたときから神社ありすぎて、感覚麻痺してるだけだから」
A「そうだよな。よかった~…ガッデム」
B「流石にそれは不謹慎」
A「俺今年中に結婚したいんだ」
B「…え?」
A「いや、言ってこうと思って」
B「…え、なんか、叶えようとしてない?」
A「いや、そんなことないよ」
B「一回成功して、変なジンクス出来てるよな」
A「そ、そんな事しないって」
B「で、で、なんの人?」
A「え?」
B「相手相手」
A「もうすぐ順番来るよ」
B「…まだ全然じゃん」
A「…加野さんだよ」
B「えー…どの?」
A「営業の後輩の!知らないのに驚くなよ」
B「しょうがないだろ『エ』の口で待ってるに決まってるんだから…え…(笑)あの営業成績1位の座を奪えなかった?」
A「関係ないだろ」
B「2年目からずっと1位っていう…オリエンタルラジオみたいな娘でしょ」
A「どんな例えだよ。デビューからブレイクまでが早いってこと?外資への商談ではやっぱ勝てないから」
B「たしか帰国子女でしょ?」
A「そう英語教えてもらったんだ」
B「え、ええ、前から仲良かったっけ?」
A「通ってる居酒屋が同じだったの」
B「うん⤵…で」
A「まあ触発されて、英語勉強して…みたいな」
B「ああ、そういうこと…」
A「おかげでTOEICも200点ぐらい伸びたかな」
B「(棒)へー、すごい。もうそれは初詣のお願い叶ったとかのレベルじゃないって。自分が頑張ったって言いなよ」
A「現実になったのは事実だし」
B「人間は、人智で説明できないことを神って呼んだんだから。説明できてるじゃん」
A「まあでも、これもある意味神の思し召しかなって。運が良かったんだよ」
B「やかましいわ。運とかでまとめんなよ。頑張ったら頑張ったって言ったらいいんだから」
A「神も何割かは貢献してるでしょ」
B「そんなことない。もう神は死んだ」
A「ニーチェじゃないんだから。無神論者の僕でもそこは疑義を唱えるよ。ほら、もうすぐだから、準備して」
SE 小銭の音
SE 鈴を鳴らす、拍手
SE 足音
B「で、今年はなんてお願いしたの?」
A「言わないよ。え…今年は2人共人事異動しませんようにって」
B「したたかだね」
拙いながら収録したYoutubeを近日公開する予定ですので、
その際はぜひご覧ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?