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[夢の話]巨大なとんかつ屋

この記事は自分の見た夢がつらつらと書かれているだけですので、そんなもん付き合い切れんわ、という方はどうぞスルーしてください

こんな夢を見た。
俺はその時、片側2~3車線くらいある目抜き通りみたいなところの歩道に立っていた。夜だ。
大阪で言うと御堂筋みたいな感じか。ただ、地形的にはそうなんだが、周りの建物がサイバーというか、全体的に蛍光色のネオンのようなものに彩られており完全に異空間だ。中空には空飛ぶバイクみたいなんも飛んでいる。流星もちらほら落ちてきている。映画「トロン」とゴッホの絵が混じり合ったような世界観だった。

とにかく俺はそこを歩いていた。どこへ向かうともなく歩いていたら、車道を挟んで右側にひときわ巨大な建物が見えてきた。それは建物というより巨大な箱のようでその構造物の骨組みは蛍光色のネオンで構成されていた。壁は水のような液体状のものでたおやかに波打っていた。

「オシャレだな」これが俺の第一印象だ。
近づいていくとこれもまた巨大な看板が掛かっており、そこには「〇〇(この文字は忘れた)とんかつ屋・韓国」と書かれていた。
ここが噂の〇〇か、と俺は思った。これはどうしても食わねばなるまい。むしろこの店に来るために向かってきた、ような気がした。

道の反対側から様子をうかがうと、入口辺りに人が溢れかえっているのが見える。むちゃくちゃ並んでいるのだ。
そりゃそうだろう、話題の店だからな。と俺は思った。並んでやろうじゃないか、と道を渡ろうとしてふと後ろを振り返ると、「〇〇とんかつ屋・韓国 2号館」の看板が掲げられた、ちょっと大きめの中国の公園にある四阿のような建物が目に入った。
世の常として普通は2号館の方がデカいし新しい。1号館が手狭になったから近隣に新設してというのはよくある話だ。しかしこの2号館は恐ろしく小さく壁もなく(だから中で食べている人が丸見え)、人気も少ない。こちらには行列もない。

いやまてよ。これが2号館だからって向かいの巨大な建物が1号館とは限らないぞ。向かいのは3号館かもしれない。1号館はすでに老朽化のために取り壊しになったのかもしれない。いや離れた場所にあるのかもな。などとどうでもいいことを考えながら、行列に巻き込まれたくない俺は2号館の方に足を向けた。

いろいろな情報を検索すればいいものを夢の中での俺はなぜかスマホを駆使
することを忘れている。

2号館の前は砂利敷きになっており、地方のラーメン屋の駐車場みたいな風情だ。入口に近づくと、白と黒で配色されたアンナミラーズの制服のようなものを着た姉さんが近づいてきて「おひとり様?」と聞いてきた。韓国の姉さんだろうか。何となく片言の日本語である。
ひとりであることを告げると、「こっち、そこ」と指をさされる。店内は全部で20席くらいに客が5~6人点在しているといった感じだ。

おれはここでなぜ向かいの店は人であふれかえってるのに、こっちはガラガラなんだ?という疑問を呈さなかった。これが夢の夢たるゆえんである。何も考えてない。

そして、着席してメニューを開く。一番大きく「とんかつ定食・韓国 1,600円」と掲載されている。これが看板メニューなのだろう。いわゆる普通のとんかつの傍にはキャベツが添えられており、ごはんとみそ汁がついている。一見して普通の定食に見える。その他は、「おろしとんかつ定食」「トマトとんかつ定食(トマトソースのようなものが掛かっていた)」みたいなラインナップであった。ここではもちろん「とんかつ定食・韓国」を食わねばなるまい。1も2もなくこれを注文する。
待っている間メニューを見ていたが、なぜ「韓国」なのか?と俺は考えなかった。

ほどなくして「とんかつ定食・韓国」が運ばれてきた。
それはどんぶりに蓋がついているもので、形状からいうと見るからにかつ丼であった。いや正確に言うと世間一般ではかつ丼と呼ばれているものであった。しかし夢の中のおれは「これはかつ丼じゃないか、メニューと違うじゃないか」とは思わなかった。俺は疑いもなくこれを「とんかつ定食・韓国」と認識した。

ふたを開けると、確かに形状はかつ丼だが、「米にとんかつが載っているだけ」のものであった。つまり、卵で閉じてないかつ丼だ。卵で閉じ忘れたかつ丼だ。それならなぜ丼にする必要があるのだろうか、と俺は思わなかった。そこに何の不自然さも感じない。
韓国だから、コチュジャン付けるのかな、とかキムチ乗せるのかな、とも思わなかった。韓国というワードをすでに忘れていた。

そして食べ始めたが、ソースもかかってないし、テーブルに置かれている訳でもなかった。だが俺は店員さんにソースを要求することもなかった。その発想もなかった。
そのまま食べると、とんかつにうっすらついた塩味だけがした。ような気がする。
しかし、そのことが味覚をより鋭敏にしたのだと思う。お肉の味がダイレクトに伝わってきた。ごはんもおいしかった。しかし、何が韓国なのかは最後まで分からなかった。最後まで疑問にも思わなかった。

最後までいただき、お会計を済ませ、店外に出た。何か釈然としないものがあった。その違和感は覚えている。

目の前には巨大なとんかつ屋が見える。1号館だか3号館だか分からないが、そちらに行って食べ比べてみないと、この違和感は解消しないだろう。
「行くしかないか」と俺は思った。
そして、巨大なとんかつ屋の方へ足を向けた…。

というところで起きた。

目覚めた後の話

とにかくとんかつが食べたくなったのだが、その日の夜は諸事情により鶏のから揚げになった。


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