自作小説『解放』1. 天使
天使みたいな子だとよく言われた。
天使みたいに優しい子だと。
でもそれは、本当の優しさではなかった。
優しいことをしていたのは、相手を想うからではなかった。
「そうすべき」だからそうしたまでだった。
この人間世界でどのような行動が望ましいか。
世間から見たら、大人から見たら、先生から見たら、自分はどうするべき?
そんなことばかりを考えて、行動基準にしていた。
気づいた時には、本当は何をしたいのかさえ分からなくなっていた。
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