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朝井リョウ「スペードの3」

世間の耳目を集めるような生い立ちなんて持っていない、普通の家庭で育った舞台女優つかさ

片や、生い立ちに物語性を持っている
そして円は周りから可愛がられる性格で、少々ハメを外しても、大目に見てもらえたりする。

つかさはそんな円に嫉妬している。

市井の人間には、どちらも素晴らしい才能を持った華やかな芸能界の人でしかなくて、
多くのファンを持つ、つかさも円も憧れの存在だ。

目に見えるものなんてちっぽけだ。

華やかで才能溢れるように見える人の内面の空虚なんて見えない。

平凡でつまらない生活をしている人の内面の情熱なんて見えない。

規定されたものなんてどこにもない。

過去に物語性があるから、芸術家になれるわけでもない。

芸術家だから必ずしも物語をもっているとは限らない。

物語はあとからついてくる。

平凡なりの物語。

波乱万丈なりの平凡。

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