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桐野夏生「オパールの炎」〜闘う

めちゃくちゃおもしろかったです。

昭和の時代に
ピル解禁を訴えて活動した
女性をモデルに描いた小説です。

中ピ連という言葉を覚えているでしょうか。

その頃私は小学生で
親から、
何やら怪しげな活動をしている人たちだと
聞かされていました。

ウーマンリブも女性解放運動も
嫌うような親たちですから

あまりいいようには言ってなかったと思います。

これを読んで、
その頃何があったのか
何をしたかったのか
そして、こういう活動があったからこそ
今があるのかなと気付かされます。

・・・・・・
女性活動家で、
当時かなり有名だった塙玲子は今は消息不明。

親戚すらもその所在を知らないという。

その塙玲子のことを知りたくて
ライターはいろんな人に会いに行きます。

知人からの話を積み重ねて
塙玲子という人が炙り出されていく。

良いように言う人もいれば
呪う人もいる。

この辺の筆致がすごい。

読んでいるうちに
塙玲子にも、知人たちにも感情移入していく。

・・・・・・
1945年生まれの女が孤独に、
時代と、男性社会と闘ったんだなと思うと
感慨深い。

私の親は
「女は結婚したら専業主婦になるべき」だと
言ってました。

そう言う価値観の人から見たら

中ピ連やウーマンリブは
ケッタイですよね。

塙玲子に人生を狂わされた人も多い。

だから、呪いの力で塙玲子は没落した。

でも、人生を賭して闘う人がいないと
社会は変わらない。

桐野夏生という作家もまた
闘う人。

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