![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/28759692/rectangle_large_type_2_49b6c32ef2a0f40fe7564d9a4040311c.jpg?width=1200)
モロカイ島から私の旅が始まった
2018年7月。
バックパッカーになって初めて訪れた地は、ハワイのモロカイ島だった。
ハワイと言えば、おしゃれなスーツケースにリゾートワンピが似合う場所。それに比べて私の格好と言えば・・・完全に浮いている。
なぜ私がモロカイ島を旅の出発地に決めたのか、今日はお話ししたいと思う。
はじめに:モロカイ島とは?
別名フレンドリーアイランドと呼ばれる、月の女神ヒナの島。人口は7000人ほど。ハワイ諸島に位置する火山島であり、ホノルルがあるオアフ島から南東方向に位置する。大自然が残り、フラ発祥の地という魅力的な場所であるが、他の島々に比べるとそこまで知名度は高くないのではないだろうか。
1 プロペラ機に乗って
ホノルルからモロカイ島に向かうプロペラ機の中で、私は幼かった頃の自分を回想していた。
『私が初めてハワイを訪問したのは小学校3年生の時だった。夏休みの家族旅行である。当時は沖縄とハワイの違いも知らないような子どもだった。「ハワイはアメリカという国にある島なんだよ」と父に言われ、あまりよくわかっていなかったが、興奮したのを覚えている。ワイキキビーチの近くにあるホテルに泊まり、毎日透明度の高い暖かい海の中で、まるで自分が人魚になったかのような気分になっていた。
海と地球に抱かれている不思議な感覚。
私もこの海の中に生きている魚たちと同じ命なんだ。
とても安心した。
その時から、ハワイは私にとって特別な存在であり続けたのだ。』
ホテルや建物で埋め尽くされたオアフ島の風景を眺めていたら、多くの賑やかな声が聞こえてくるようだった。その中に、家族と一緒に遊んでいる幼い自分の声が混ざっている気がした。過去から今へ、そして未来に繋がっていく大いなる時間の流れを感じていた。
それから20分ほどすると、赤い広々とした大地が目に飛び込んできた。
ここが、モロカイ島。初めての土地。知らない土地。
それにも関わらず、なぜだろう。とても懐かしい気持ちがした。
2 海と空の絵を描く画家さん
モロカイ島を訪れようと思ったきっかけは、ある画家さんの絵をSNSで拝見したことが始まりである。その方の名前は山崎美弥子さん。もともと東京で活躍されていた方だ。船上生活を経験されたのち、旦那さんとお子さんとモロカイ島で絵を描きながら暮らされている。
私は美弥子さんが描く優しい色たちの作品に心を奪われた。
こんな素敵な絵を描く方がモロカイ島にいる。私の心の中に輝き続けるハワイの中に。どうしても、お会いしたい。そして、私にとって大切な場所であるハワイを旅の出発地にしたい。もしかしたらそれは、旅の不安な気持ちに対する願掛けのようなものだったのかもしれない。
美弥子さんの住む「天国の131番地」に到着した。
「こんにちは。はるばるよく来てくれましたね。」
優しい穏やかな眼差しと声。そして力強く温かいハグでお出迎えしてくれた。
モロカイ島の不思議なお話や女神ヒナのお話、美弥子さんが導かれるように島にきた時のお話。話を聞いていくうちに、涙がこみ上げてきた。
人は生きていく中で、様々な経験をして感じていく。
時には悲しいこと、辛いと感じるようなことが起こることもある。
けれど、どんな時も多くの命に支えられ、守られている。
そして導かれている。
私は美弥子さんのお話を通して、とても大切なことを教わった気がした。
3 夜のパン屋さん
カウナカカイの街の中に、夜にオープンするパン屋さんがある。モロカイ・ブレッドと呼ばれて、とてもおいしいとの情報を得たため、買いに行くことに!
お店の表はしまっており、裏口に向かう。狭い路地に入って歩いていくと、小さな窓から明かりが見えた。
夜にも関わらず結構な人が並んでいて、噂通りの人気の様子。ワクワクしながら列に並んだ後に、大きなパンをゲット。自分の顔と同じぐらいの大きさだった。パクッと口に入れると、優しい素朴な味がした。
おわりに
モロカイ島に上陸した時に吹いていた暖かい風と香り。それはモロカイ島独特のものだった。私は今後の旅に不安を感じていた。けれど、モロカイ島の優しさがその不安を包んでくれている気がした。
「また戻ってくるね。たくさんの優しさをありがとう。」
私は、モロカイ島にお別れをした。