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自分との戦いを乗り越えてリスクを取る覚悟
組織の上に立つ人間は、基本的には、まずは全体を俯瞰し、どこに向かうべきかの見立てを持ち、そのうえで指示を出すことが、組織を動かすうえで最も大切なことであると思います。
ただ、このこと自体、リーダーに与えられた情報だけでは、的確な見立てをすることも簡単ではなく、さらにそれを指示に落とし込むとなると、自分の組織の中にいる人間の特性を理解したうえで、適材適所で人を動かし、しかも、その指示の結果、一定の成果につながるようにすることが求められるため、難易度は高いと思います。
的確に指示をして、それを成果につなげるには、リーダーのこれまでの経験、知見、構築してきた信頼のできる人的ネットワークといった、総合力が試されることになります。
現実的に、リーダーのすべてがこうしたことが的確にできる資質を備えているわけではありません。その場合、指示があいまいであったり、責任回避が透けて見える指示をすることがままあり、現場は戸惑い、士気も低下することになります。
リーダーとしての役割を果たせないと自覚すると、自分の得手の領域に入り込み、その作業に没入することで、リーダーとしての役割を果たせない言い訳にすることもあります。
よく「まだまだ俺がやらないとダメだな」という感じで、細かな作業に立ち入ってチェックするリーダーを見ますが、何か他にやるべきことがある時ほど、そうしたところに居所を見出して、本来のリーダーとしての役目から逃れている、そういう人も見受けられます。
一方で、これまで前例のないような状況に直面し、最前線の現場において臨機応変の判断が求められる場合、リーダーが後方に留まり続けるだけでは、現場が混乱し、士気が下がってしまいます。
こうした場合は、リーダーが自ら前線に入り状況を把握し、そのうえで全体の人的リソースの配分を変えたり、時にはリーダー自らが道を切り開くことで、部下の士気を高めることが必要になります。
いずれの場合においても、大切なのは、リーダーとして状況の変化に対応し、自分が言い訳をせずに最適な選択をできるかということです。
戦いにおいて、最も厄介なのは外敵ではなく、むしろ自分自身の気持ちです。できれば自分は安心できる場所に身を置いて、リスクを取りたくないというのは、誰しもが持つものです。
リスクを取ることに対する恐れや不安は、人間として当然の感情です。
しかし、リーダーとして、そこを見透かされると、人心が離れることになります。
ある出来事を縁に、リーダーとしての振る舞いの難しさを実感し、自戒を込めて書いてみました。