石油がないとコメを作れないの衝撃
食料安全保障に興味を持ち、「そのとき、日本は何人養える」という本を読んでいます。
なかなかこの本は衝撃的です。
自給率の高いコメについても、機械化による作業効率化と施肥技術の進歩、適切な農薬使用により、現在の生産量が確保できているため、機械化の動力源であり化学肥料や農薬の原料である、石油が手に入らなくなれば、生産量は大幅に減少し、自給率は大きく低下するとのことです。
日本の畜産業については、トウモロコシなどの飼料の多くを輸入に頼り、このことが食料自給率を引き下げているという話は、以前から知っていましたが、農業の大規模化による効率化の前提となる農業機械の使用が、燃料を手に入れられなくなることで動かせなくなる、そこまで至らずとも燃料価格が急騰し、現在の価格水準では割に合わなくというの゙は、十分あり得る未来図のように思います。
また、農業の大規模化にしても、農村に住まいする住民の減少につながり、商業や各種サービス業がその地域で成り立たなくなり、大規模農家が生活利便性を求めて他の地域に転出し、農地だけが残る、米国などではすでにこうした事態が進行しているようですが、人が住まなくなれば、最近は人里に入り込んできて問題となっている獣害が深刻化する可能性は高いと思います。
農業については、行政と住民の中間的な存在である、共同体的な活動組織が、法的に管理主体が曖昧な立ち位置にある、農業用水路や農道を、手弁当で維持することで成り立ってきたのですが、農村の住民が減少し高齢化することで、難しくなっています。
国は農業生産に不可欠な、水路や農道の維持に手間賃を直接払う仕組みも入れ、活動組織の維持をテコ入れしていますが、そもそも担い手が減っているので、頭打ちになっているようです。
食料輸入がストップし、石油も手に入らなくなれば、サツマイモの作付けを最大限に増やしても、現在の日本の人口をカロリーベースで賄うのは不可能とのことで、さすがにそうした事態が突然やってくることはないでしょうか、円の価値が低下し、他国の経済力が相対的に強化されたこともあり、海外の水産物の買い付けで、日本が買い負けているのは確かのようです。
また、再生エネルギーを支える太陽光パネルを、遊休農地に設置する光景はすっかり見慣れてしまいましたが、最近の猛烈な台風で、パネルが飛散して周辺に被害を与えるケースも増えているようであり、普及を業者任せにしてきた再生エネルギー施策も、見直しが求められそうですね。