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母との毎朝の電話の5分間ゴングルール

 母とは毎朝、始業前に電話をしていますが、初期の認知症になって、時間の感覚が曖昧になっているところがあり、まともに付き合うといつまでも電話に付き合わなければなりません。

 もちろん、切実な電話であればそうした対応も必要でしょうが、だいたいは昨日聞いた話の繰り返し、傾聴に徹するにせよ、こちらも手持ち時間は有限なので、通話時間が5分経過する前に、一度電話を切る「5分間ゴング」ルールを定めています。

 これは、始業前の朝の限られた時間の中で、母との会話を円滑にしつつ、僕の負担も調整するための工夫です。

 5分経ったところで一度切り、何度かかけ直すと、母につながります。最初は母にも違和感があったようですが、今はこの「5分間ゴング」がデフォルトになり、母も構わず続きを話しつつも、
「ああ、いつまでも電話してられないよね。手短にするわ」という感じで、延長戦は2、3分で終わることが多くなりました。これは、母が満足感を持ちつつ電話を終えられる大きな要因になっているようです。

 この「5分間ゴング」導入前は、会話が終わるタイミングを母が見失いがちで、結局こちらが「ああ、忙しいからこのへんで」と電話を半ば強制的に切っていました。そうすると母の中に「もう少し話したかったのに」という感情が残りやすくなり、それが積もり積もると、また母のメンタルのコンディションにも悪影響を与えます。

 認知症の家族とのコミュニケーションは、一方的に合わせるだけでは長続きしません。こちらが無理をしても疲弊しますし、かといって母の気持ちを無視するのも難しいです。だからこそ、こうした小さな工夫が「持続可能なフォロー」につながります。本人の安心感を保ちつつ、こちらも日常のルーチンを維持できる方法を見つけることが大切だと思います。

 これからも、母との関わり方を模索しながら、負担を調整しつつ、できるだけ良い形で寄り添っていければと思います。


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