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電算の時代

 今から20年ほど前に、情報システム部門で数年間勤務していたことがありました。私大文系で就職先として選んだ業種もITからは縁遠く、最初の配属先はワープロさえ一人一台ない職場でしたので、大学時代に使っていた自分のワープロを自宅から持ち込み、文書作成をしていました。そのため、異動の内示をもらったときは驚きましたし、実際に異動してみるとその職場だけが一人一台のパソコンがあり、エクセルで予定表を作成することを指示されましたが、自宅のパソコンではメールしか使用していらず、ワープロでの罫線の引き方しかわからなかった当時の僕には、エクセルのセルの考え方が理解できず、休日に出てきてエクセルの教本を見ながら何とか作成した覚えがあります。まだその時代、職場でインターネットに接続するパソコンは別にあり、ワープロや表計算ソフトの使い方を知らない人が大勢いましたので、操作研修の講師なども担当していました。また、そのころはITとか情報システムと並んで、「電算」という用語が幅を利かせており、情報システム部門と言えばマニアックで難しいことを知っている集団で、何かパソコンでトラブルが起きれば、その対応は丸投げでした。いろいろ重宝されても、組織内では陽が当たらない職場という印象を持たれていました。

 ただ、今になって思えば、ITリテラシー全般の知識と仕組みを理解できたことは、後に大きな財産になりました。20年ぶりにIT系の資格試験を受けるために本を一通り読みましたが、当時から変わっていないことも多く、当時の電算とか情報化といった用語が、ITに、さらにデジタル化やDXに取って代わり、脚光を浴びていますが、システムやネットワーク運営を支える基本的な技術は変わっていない、ただ、業務システムの構築やメンテナンスだけでなく、社会全体のデジタル化への対応や仕事の進め方の変革への活用にもリソースを投入することになり、人材の確保、育成が難しくなっているように思います。最近は学び直しが一つのキーワードになっていますので、僕も学び直しにより、これまで多様な業務経験とアップデートしたITスキルを自分の中で融合させ、DXの要石たることを志向したいと思います。

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