外房線
千葉県内のJR線に外房線という路線があります。
僕にとっては社会人の最初のころに通勤で利用した路線であり、それなりに思い入れがあります。
「外房」は房総半島の太平洋側の総称であり、天然ガスの町である茂原、サーフィンのオリンピック会場となった一宮、いすみ鉄道で知られるいすみ、勝浦タンタンメンの勝浦、鴨川シーワールドの鴨川を結んでおり、海の薫りのする路線のような感じですが、実際に海岸沿いを走っているのは、南部の御宿から先の区間になります。
また、起点である千葉駅は東京湾側にあり、そこから房総丘陵の最北端をかすめる感じで太平洋側に出るため、その間は内陸部のゆるやかに登っていくような感じで、千葉市南端部から太平洋側の大網白里市に向けて一気に勾配を下ります。
かつては太平洋側から千葉側に向かう蒸気機関車が、途中で勾配を登りきれなかったこともあるそうです。今は長いトンネルでこの区間を通過するため、そこまでの勾配はありませんが、トンネルを出た先は、山あいの法面の高い区間を走行しています。
先日の台風13号では、房総半島の東京湾側(内房)と太平洋側(外房)の分水嶺に近く、比較的高い位置を走行する、この区間の線路の下の道床が大きく崩れたようです。
外房線の、この区間で公表されている1日の平均通過人員はざっと5~7万人で、近隣都県でこれに近い数字の路線はあまりなく、関西の学研都市線が近い感じでしょうか。おそらく、輸送量は千葉から右肩下がりになっているので、公表されている通過人員よりはすくないのでしょうが、それでも地方のローカル路線のように、1時間に1~2両編成が運行されるようなところとはわけが違うため、長期にわたるバス代行輸送を続けるのは困難であり、そこは短時間で復旧できたようで良かったです。
これだけ利用者の多い区間の不通による折り返し運行+代行輸送のオペレーションはを、極めて短時間で手配することは、相当大変であったのではと思います。
突然の断線で車両の運用などもままならない中、極めて短い期間で限られたリソースにより列車ダイヤを組み、代行輸送のバスをかき集め、それに対応する駅での案内周知や関係各署への連絡、人をさばくための人員の確保など、本当に大変であったと思います。一方で、昼夜を分かたず崩落現場の復旧に取り組んだ皆様には、本当に頭が下がる思いです。
当然ながら、こうした鉄道輸送の混乱があると、多くの人でごった返す駅の混雑の模様や、そこで戸惑う利用者の声などに、フォーカスが当たりがちですが、その裏では、代替輸送や復旧に尽力される方々の存在があるわけで、自分が利用者として巻き込まれた時には、そうした人たちの苦労を思い起こし、自分のできる行動をしていきたいと思います。
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