ビザンツ帝国と出会った図書館

 コンスタンティノープルの陥落という、塩野七生さんの小説を高校生の時に読んで以来、時代により統治の有り様を変化させながらも千年近く生き延びた帝国に興味を持ち、大学時代は大学図書館の地下深くにあるビザンツ帝国の専門書を読んだり、海外のビザンツ帝国の研究機関に入り込むことができないか、本気で考えたこともありました。以前、歴史シミュレーションゲームでこの国の皇帝を選択してプレイすることが可能でしたが、アジアとヨーロッパにまたがる領土を持つとはいえ、四方を強大な隣国に囲まれ、どこから攻められてもおかしくない状況にあり、ゲームのような単純化した条件下でも、領土を広げるどころか守るのも大変でしたので、現実においても国を守り続けることは容易ではなかったはずであり、時代を経て次第に領土を縮小しつつも、長きにわたり帝国を維持できたのはすごいと思います。

 こうした世界史関係の本を多く所蔵し、高校生の僕が、多少より道をしてでもよく利用していた公共図書館は未だ健在であり、たまに行っても、歴史に関して、これまで僕が知らなかった、新たな領域を切り拓いてくれる書を用意してくれています。公共図書館なので、蔵書のジャンルに偏りはないはずですが、30年以上利用していても、この、歴史に強い図書館という印象は変わらないのは、利用者がリクエストする本を入れる仕組みもあるようですので、30年とは言わなくても、それなりに長い間、歴史の本をリクエストし続けている誰かがいて、その人の長きにわたる努力により、リクエスト枠で少しずつ、歴史の蔵書が継ぎ足されており、僕が見出してくれるのを待っているということなのでしょうか。今は公共図書館での本の貸出が便利になり、市内の公共図書館にある蔵書は、家のすぐ近くの図書館で受け取ることができるんですが、検索する段階で書名と内容が分かっている本は、新聞の書評に載るような本であったり、自分の関心領域に近い本であって、まだまだ、自分でそこに行って、開いてみないと出会えない本はあるんですよね。公共図書館でも今後、電子書籍での貸し出しが増えていくようですし、その方が本が痛むことはないのでしょうし、利用者も図書館側も貸し借りが容易になるわけですが、電子書籍は出会いという面、本の個性を感じるという点では、僕には物足りないですね。ただ、本を読むのは目に負担をかけますので、ハウツーものの本を、読み上げソフトなどを使って耳から情報を入れることは、時間の有効活用になると思います。

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