自覚なき身勝手
母の理想の住まい探しについて、さんざん煮え湯を飲まされてきた弟ですが、それでも何とか希望に沿うべく、一度、ドタキャンをした不動産会社に頭を下げて、再び前に住んでいた交通至便な場所の物件を借りられないか交渉し、何とか了解を得たそうです。
母の望みどおりの立地であり、今はとにかく立地がすべてだと語っていたので、まずは文句のつけようがないだろうから、入居の審査に入ってもらうが、一応、審査に入る前に物件を見てもらおうと、弟が物件に連れて行ったところ、
日当たりが悪い、一人で住むのはやはり無理、団地のように若い世代の人たちがいっぱいいるところが良いと、さんざん難癖をつけ、物件をろくに見ないで、途中で切り上げて帰ってしまったようです。
この振る舞いに、不動産会社も弟も啞然、僕にも説得してもらおうと電話したようですが、折悪く、電車で移動中で、電車から降りて駅で電話した時には、弟は早く帰りたいという母に急かされて、すでに物件から引き揚げた後でした。
こんな話を日中に聞いており、弟はもうこれ以上、ちゃぶ台返しには付き合ってられないと怒り心頭で、二度と引っ越しには協力しないという感じでしたので、翌朝の定期連絡では、この辺の確認をしなくてはと思っていたところ、夜になって母から電話が入りました。
正直、夜の電話に出てロクなことがないので、翌朝にしようかと思いましたが、日中の一件があったので、そのことが関係があるかもと思いコールバックしました。
母の用件は日中の件ではなく、自分は一人では生活できないので、早く入院したい、ついては手続きを取って欲しいので、明日家に来てくれないかという、なんだよそれ、という内容でした。
病気でもない母を、医師でもない僕が病院に入院させるなんてできないと返したうえで、そんなことはともかく、せっかく理想の物件が見つかったのに、また同じようにちゃぶ台返しをしたのはなぜかと、問い詰めました。
母としては、確かに物件は気に入らなかったけど、弟に確定的に断りを入れたわけではない、そんなことを聞くのは心外だという感じで、人を振り回した、迷惑をかけたという自覚は、全然ない様子。
それどころか、言い方がきつい、冷たいというので、僕もさすがに腹が立ってきて、身勝手な行動の繰り返しをしてきて、引っ越しできないのは人のせいだというのはいい加減にしてほしいと、かなり厳しい言葉をたたきつけ、もう電話もしないからと啖呵を切り、電話を切ってしまいました。
まあ、母が僕のことを頼る気持ちはわかるけど、寂しさが根底にあるのもわかるけど、限度というものがある。毎日の電話も、申し訳ないけど、そうした負の思いをぶつけられる僕には負担でしかない。しばらく電話せず、怒りの心が母の中で荒れ狂うのに任せるしかないのかなと、今は突き放した気持ちになっています。
やはり、夜に電話するのは、良くないですね。また、自分の行動でも、こうした自覚なき身勝手により、信用を損ねていないか、言動に表す前に思いを致すことを、自らにも課したいと思います。