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輪切りを超えて

 ほかの会社もそうかもしれませんが、うちの会社も最近は若い人がよく辞めます。僕の知り合いだけでも、社内でこの一年間で、6人も辞めてしまいました。

 どの人も基本的に優秀であり、中には、経営企画や財務企画といった、ある程度フィルタリングかかかった、社内でも将来有望とされる部門に異動になった若手も、さっさと見切りをつけて辞めてしまいました。

 採用も相当苦戦しており、ある上場企業の役員と先日、話をしたのですが、その企業は春先に内定を出した全員に辞退されてしまったそうです。で、人事部長がやる気を失って、今から取れる奴はロクな人間がいないので今年は採らないとか、自暴自棄になり、それを嗜めて何とか採用活動はしてるけど、厳しいと話していました。

 今は、会社への就職というのはキャリアアップ、ステップアップの一つであり、長く勤めることを前提に入ってきている人は少ないと思います。当然、転職にはそれなりのエネルギーと、給与水準をはじめとする雇用条件が改善されること前提なので、誰もが望みどおりの転職をできるわけではありませんが、少なくとも気持ちのうえでは、この会社に最後まで勤め上げようというところに立っていない人が多数派ではないでしょうか。

 結局、会社にとどまるのは、転職できない事情を抱えた人たちが相対的に多くなり、優秀な社員であっても、男性の育児休暇を年単位で取る人も増えてきて、組織が回らなくなっている現状があります。
 僕なんかは、バブル崩壊後の就職氷河期、株価7千円台の経済冬の時代に入った人間であり、僕の周りの同世代の友人を見ても、卒業時にはまともに就職ができず、
その後、持てる能力により、軌道修正は図られているものの、おそらく今の時代であれば、それなりの企業に入れたような、世間的には一流大学を卒業したような人が、役所の会計年度任用職員をやっているような状況もあり、割を食った世代だなと感じます。

 とはいえ、こうした世代的なめぐり合わせは、自分ではどうにもならないことであり、少なくとも戦乱やその日の食べ物にも困る貧困状態の人たちが世界中に少なくないことを考えると、
また、自分自身としては、本意ではない入社でも、ある程度、自分の好きなことをやってきて、それなりの評価を得て仕事をできていることを考えると、給与面は不満はありますが、恵まれている方だとは思います。

 いずれにしても、同じ世代の輪切りの中で、どうにかしようとしても、今より自分の環境を改善することは難しいです。

 まずは組織としての評価は、現状でマックスでしょうから、そこを離れないと、あるいは組織にいながらにいて自分で橋頭堡を築かないと、現状をより良いものにすることは難しいですし、
できれば世代の輪切りを超え、ブルー・オーシャンの海域で、唯一無二の価値を提供する、それにより組織や世代に翻弄される生き方を変えていくことが、今後の様々なリスクを乗り越えるためにも必要なことと考えています。

 今日も一日、さまざまイベントが待ち構えており、日々の雑多な波に、長期的な思考がのみこまれがちですが、そこは前向きに糧にできるように乗り切りつつ、
一方で、忙しい中でも、自分の価値を生かせる場所を貪欲に探す、この気持ちをコアに持ち、アンテナを立ててチャンスをうかがうことは、続けていきたいと思います。

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