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市場の予想なるもの

 株価のことについて昨日、書きましたが、この週末の動きのように、日本から米国へ株価下落が連鎖すると、米国のマインドが週明けの日本市場にも影響を及ぼしかねない状況にあり、このまま、どこまで下がるのだろうという不安な気持ちになります。

 実際に、株価の変動が生活費を直撃するようなことがなくても、いつでも換金可能な株の価格が大きく下落すると、財布のひもを締めようという気持ちになるのが、人情のように思います。

 金融マーケットのアナリストの人たちは、多少の逆張りはするにせよ、基本的に風見鶏なので、下落トレンドの流れが強いこの局面では、アナリストのポートも総じて悲観的になり、あとは、この下落局面がどこまで続くのか、戻るとしてもどの水準まで戻るのか、そのへんの予想が、どれだけもっともらしいかを、競い合うことになります。

 現代のように、実態経済よりはるかに大きな額の資金が、金融マーケットでやり取りされている現状では、どちらかといえばのっそりと動く実態経済の変化を先取りするかたちで、金融マーケット参加者の心理の読みあいのようなものが先鋭化し、特にこうした下落トレンドでは、市場参加者の心理の冷え込みが実態経済にも伝播し、経済全体も何となく重い空気に変化していく、そんなケースが多いように思います。

 マーケット関係者は、個々のイベントを自分たちの物差しで判断し、投資行動に反映させているというより、他の投資家がイベントをどのように消化し、判断しようとしているのか予測し、動いており、投資家が今後取りうる行動を予測するために大事なのが、経済指標の発表前に出回る「市場の予想」というデータになります。

 市場の予想は非常に便利なツールで、例えば米国の雇用統計の場合、失業率が低下することは、経済にとってプラス要因となるはずなんですが、市場の予想も失業率の低下を見込んでいて、それが実際に公表されたよりも低い水準だった場合は、
「思っていたほど失業率は下がらなかった=景気回復に力強さがない」といった受け止めを、マーケット関係者の多くがするに違いないと考え、失業率が低下したにもかかわらず、株価指数は下落するといった展開になります。

 この市場の予想をコントロールすることができれば、経済指標にかかわらず、株価の動きをコントロールすることが可能になるので、市場の変動の大きさを利用して、資産を着実に増やしていくことができます。

 もちろん、感染症の流行や、戦争や災害のように、予測不能な要素もあるため、そうそう、思うとおりにはいかないわけですが、それでも、翻弄されるだけの、その他大勢の投資家に比べれば、収益を確保できる機会が多いわけです。

 今回のつるべ落としのような下落局面では、個人投資家の無力さを思い知らされる一方、金融マーケットにおける、巨大な見えざる動きに近づき、同じように利得を得ようとしても、奔流に巻き込まれて、痛い目にあうだけだと思います。

 今はそうした構造にあるのだろうと、一応の理解をして、そのうえで、この局面、どう動かして、事態をどの方向に向かわせようとしているのか、なるべく奔流かっら遠いところで、静かに見守っていきたいと思います。


 

 

 

 

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