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目前心後

 先日の日経新聞に、世阿弥の目前心後という言葉に絡めてのコラムが掲載されていました。この言葉は、目は前を向いていても、心は後ろに置いておく、すなわち、自分のことを客観的に見る目を持て、という意味だそうです。
 世阿弥は目前心後を、「離見の見」と別な言葉に言い換えてもおり、自分を客観視することが、芸術の世界だけでなく、人生にも重要であることを、伝えようとしているかのようです。
 最近の心理学の言葉では、「メタ認知」が、同じような意味を持つのだと思います。自分を客観視して、後ろ姿が醜くないか、くだらないことにこだわっていないか、といった検証は出来ている方だとは思いますが、そもそも今の立ち位置が自分にとって最適の場所なのかという、より広い視点からの問いかけは、即効性のある解が無いため、その高度に認知の視線を上げることに対しては、ためらう心があります。
 とはいえ、毎日はルーティンの気だるさを纏いつつ、光陰矢の如く過ぎていきますので、目を見開いて現実のタスクに対応しつつ、日に一度は心のカメラを速やかに切り替え人生を俯瞰して、人生を楽しめる道を見出したいと思います。
 

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