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質問を受ける心構え 

 今日、僕は大事な会議に出席し、そこでは僕や会社にとって都合の悪い話を中心に、種々の質問が出席者から繰り出されることが想定されるので、その前段の頭の体操を兼ねて書いてみます。

 僕はこれまでもさまざまな仕事の場面で、多種多様な質問を受けてきました。質問は、相手が知りたいことを聞いてくる、あるいはこちらの知見を試すといったことが基本にありながらも、むしろ、質問を通じて問われているのは、僕自身の事実に対する理解の深さや、即応力、さらには人間性なのだと思っています。

 むしろ、知識を深掘りするような質問は、相手の知識不足をさらけ出すことになるので、質問する側も、会議のような、多くの人の耳目が集まる場ににおいて、質問してくるケースは少ないように思います。

 それよりも多いのは、事実に対する分析や、具体的な対応策を求める質問です。具体的な対応策というのは、腹案としては持っていないと、軸足がぶれてしまうわけですが、しかるべき根回しも行わずに出してしまうことはできませんし、観測気球を上げながら、軌道修正することも必要であり、その場面において、どこまで出せるか、応えられるかというのは、ある程度のスタンスを持ちつつも、その場の雰囲気で即応する力が求められます。

 一番難度が高いのは、不祥事や問題が発覚した際の、マスコミ対応や外部への説明対応ですね。今日はそういう場面になるわけですが、その際、僕が心がけているのは、まず相手の不安や疑問に対して真摯な態度で向き合うことです。
 これには、言葉選びの慎重さも含まれます。質問する側は、揺さぶりをかけてくることもありますので、そこで動揺してしまうと、余計なことを口走り、さらに奥深くに攻め込まれてしまいます。真摯に対応しつつ、ガードは固め、不用意に誰かにポイントを稼がせるようなことはしない、この寸止めの対応は、経験を重ねてもなかなか難しいものです。

 ただ、いずれの場面においても大事なのは、自分の言葉で答えるという点です。どんなに正確で論理的な答えであっても、マニュアルのような棒読みの言葉では、相手には響きません。もちろん、想定質疑は用意はしますが、それをベースに、自分の思いを持ち、それを自分の言葉で伝えることによって、初めて相手に信頼感を与えることができると考えています。

 また、これはハイレベルな対応になりますが、質問の場を一方的な応答で終わらせるのではなく、双方向のコミュニケーションの場として活用すべきだと思っています。

 質問を契機として、相手にこちらの状況や背景を理解してもらうことができれば、それは理想的な結果と言えます。
 
 例えば、ある提案に対して疑問を持たれた際には、その提案に至った経緯や背景を丁寧に説明することで、相手に納得感を与えられますし、不祥事への対応であっても、誠実さを感じさせるようなファクトを入れ込めれば、場における新たな理解や共感を生み出すことができるので、雰囲気を変えることもできます。

 十分に物事を理解したうえで、なお届かないことについては、わからないことを無理に答えようとせず、分からないと認める勇気を持つことも、結果的に信頼を得る近道になります。さらに、答えを導き出すプロセスを共有することで、相手に安心感や信頼感を与えることができると考えています。

 僕自身、質問を受けるたびに、自分の立ち位置や考え方を見直すきっかけを得ています。質問はただ答えを求められるものではなく、自分自身を理解し、相手に自分の思いを伝える貴重な機会だと捉えています。今日も、この姿勢を大切に、会議に臨みたいと思います。

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